京都市消防局の消防隊員の金井さん(京都市東山区・東山消防署)

京都市消防局の消防隊員の金井さん(京都市東山区・東山消防署)

女性を対象にした消防士体験のイベントで、放水を体験する参加者たち(京都市南区・市消防活動総合センター)

女性を対象にした消防士体験のイベントで、放水を体験する参加者たち(京都市南区・市消防活動総合センター)

 わずか2.9%-。全国の消防士(消防吏員)に占める女性の割合だ(2019年4月)。男性消防士に比べて圧倒的に少なく、女性ゼロの消防本部もある。その一方で、女性消防士を増やすため、学生らにやりがいをアピールしたり、女性の職域を広げたりする動きも出ている。

 女性を対象にしたイベント「超リアル・消防士体験」(京都市消防局主催)が2月25日、市消防活動総合センター(南区)で初めて開かれ、市内外から17~26歳の18人が参加した。
 長さ20メートルのホースを伸縮させたり、防火衣を着て放水したり。採用後に半年間の教育訓練を受ける消防学校の見学に加え、現役の女性職員を交えた相談会もあった。やりがい、体力、結婚や出産、給与…。不安や本音をざっくばらんに語り合った。
 明治国際医療大(京都府南丹市)2年の女子学生(20)は、救急救命士になった中学時代の女性の先輩に憧れて参加した。「ホースが想像以上に重くて大変だったけど、相談や見学もできて良かった。自然災害が増えているので、救助活動にも興味がある。男性には負けられないですね」と笑顔を見せた。
 全国の女性消防士の割合は2・9%で、警察官の8・9%(17年度)や自衛官の6・5%(同)より低い。総務省消防庁は女性活躍の推進をうたい、26年4月までに女性の割合を5%とする目標を掲げる。京都市消防局の女性割合は4・3%(77人、うち管理職2人)で、6%を目指している。
 動画での業務紹介や女子学生対象の就職説明会など近年アピールに力を入れており、今回の体験会もその一つだ。採用の前提となる女性の受験者数は増加傾向にあり、市消防は「被災した人が身近にいたり、女性消防士の活躍を知ったりして、『私も誰かの役に立ちたい』と志望する女性が増えた」と指摘する。
 消防の仕事は消火や救急、救助といった災害現場活動のほか、火災予防や地域防災まで幅広い。法整備などを背景に女性の職域も徐々に広がり、市消防局では97年度に救急隊、99年度に指令センターでの勤務が可能になった。16年度からは消防学校を卒業後、男女問わず24時間交代制勤務の消防隊に配属されている。
 このうち、18年度に採用された金井美都(みさと)さん(25)は、東山消防署の唯一の女性消防隊員だ。大学時代に友人を事故で亡くし、「何かあれば行動できる人になりたい」と消防の道を選んだ。日々厳しい訓練を積み、昨夏の京都アニメーション第1スタジオ(伏見区)放火殺人事件では、スタジオ屋上から消火活動に当たった。
 「夏場や生理の時など体力面で苦しいことはあるけど、傷病者の方がもっとつらい。何でも相談しろ、と隊長も言ってくれている」とし、休日も10キロの走り込みに努める。技術やスピード、判断力など体力以外にも大事な点は多く、「一消防士として戦力となれるよう、力をつけたい」と意気込む。
 市消防によると、傷病者が女性や子ども、高齢者の場合など、女性隊員の存在が安心感を生むケースは多いという。育休後に24時間勤務に復帰する女性隊員もいるほか、育児や介護を考慮し、昨春からは男女問わず日勤の救急隊の試行運用が始まった。こうした取り組みを含め、多様な視点での組織づくりを進めることで、消防・防災体制の強化につなげたい考えだ。
 市消防は、女性消防士の存在を知ってもらうため、小中学生ら若い年代への働きかけや、採用試験の情報発信を工夫したいという。「人口の半分は女性であり、女性消防士がいるのも自然なこと。さまざまな人助けの形があることを伝えていきたい」