美、手のひらから

滋賀県甲賀市にある美術館「MIHO MUSEUM」が半世紀にわたって収集した美術品を紹介する春季特別展「MIHO MUSEUM コレクションの形成―日本絵画を中心に」が14日、開幕する。収蔵後初公開となる桃山・江戸期の絵画や工芸など約30件の秘蔵の品を中心に、美の輝きを伝える。


同館は1997年に開館。日本をはじめ、古代エジプト、西アジア、ギリシャ・ローマ、中国などの絵画、彫刻、工芸を幅広く所蔵する。


展覧会は、多彩なコレクションの成り立ちに沿って構成する。原点の日本美術を軸に、茶道具など小品の多い開館前の「黎明(れいめい)期」、開館に向けて集めた「発展期」、開館後にコレクションに加わった「充実期」に分けて計78件を出品する。

これまで未公開だった名品も少なくない。黎明期では、柳沢淇園(きえん)「梅花小禽図」や浦上玉堂「水流雲在図」を初公開する。親しく交流した中国の高芙蓉と池大雅らの逸品も展示。初期収集で重要な茶道具は、細部まで技巧を凝らした名品ばかりだ。


発展期では、中国の画家馬遠の作とされる「聴瀑図」も初のお披露目。巨大な滝の傍らに1人の人物が座る。その耳を通してとどろく滝音が鑑賞者にも聞こえてくるような趣だ。本阿弥光悦筆の色紙のほか、源氏物語や伊勢物語など王朝美を伝える作も登場する。


大作が加わる充実期は伊藤若冲「象と鯨図屏風(びょうぶ)」「白梅錦鶏図」、曽我蕭白「富士三保図屏風」といった人気の高い逸品もそろう。手のひらに収まる小さな美から空間に広がるような大作まで、日本を象徴する芸術世界へ誘う。
【会 期】3月14日~6月7日 月曜休館(5月4日開館、7日休館)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
【会 場】MIHO MUSEUM(甲賀市信楽町田代桃谷300)0748(82)3411
【入館料】一般1300円、高校・大学生1000円、中学生以下無料(20人以上は各200円引き)
【主 催】MIHO MUSEUM、京都新聞
【講演会】「I.M.ペイの建築とそのLegacy(仮称)」=5月24日午後2時、講師はフィリップ・ジョディディオ
【レクチャー】「2020年春季特別展の楽しみ方」松徳筆達磨図を中心に=5月17日午後2時 講師は片山寛明・同館学芸員
※新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府のイベント自粛延長要請を受け、3月末まで臨時休館し、4月1日から始まる予定。