新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、安倍晋三首相は全国的なスポーツや文化イベントの実施自粛要請について「10日間程度の延長を求める」と表明した。

 政府の専門家会議がイベント自粛や一斉休校の要請について、対策の効果が見えてくる19日ごろまでの継続を求めたことを反映させた。

 すでに各地で異例の対応が続いている。プロ野球は公式戦開幕を延長し、サッカーのJリーグは18日の公式戦再開を断念した。大規模なコンサートの中止やテーマパークの臨時休園が相次いでいる。

 選抜高校野球大会もきのう、中止が決まった。

 自粛による不利益が多くの人に出ている。延長の影響をもろに受ける音楽やスポーツの関係者からは「いつまで続くのか」と悲鳴が上がっている。少しでも影響を小さくする配慮が求められる。

 イベント開催について政府は当初、主催者の判断に委ねていたが、専門家会議が「1~2週間が瀬戸際」との見解を示したことを受け、2月26日に2週間の開催自粛を呼びかけた。

 だが「瀬戸際」はいつまで続くのかはっきりせず、現時点で終息は見通せない。警戒を緩められない以上、自粛延長はやむを得ないだろう。「10日間」という目安を示したことは理解できる。

 これまでの対応には場当たり的な印象もあった。一斉休校や入国制限など、首相が唐突に方針を表明する事態が相次ぎ、現場の混乱を招いたことは見過ごせない。

 不特定多数の人が集まることによる感染リスクを避けるのはもっともだが、通勤電車の混雑などは続いており、バランスを欠いている面はないだろうか。

 政府には専門家の知見を十分生かすとともに、根拠を丁寧に国民に説明する姿勢を求めたい。

 自粛延長を繰り返すだけではなく、どうやって終わらせるのかという「出口」を見据えた周到さも必要だろう。

 さらに政府は「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を国会に提出した。13日に成立の見通しだ。

 改正法施行後は、知事の権限で自粛などの措置ができるようになる。ただ過度の私権制限を招くリスクもあり、「歯止め」の議論が欠かせない。

 与野党協議では、政府が原則として事前に国会報告するとの付帯決議を行うことで折り合った。私権制限に踏み切った際の影響は大きく、慎重に判断するべきだ。