調和と余韻

 住友吉左衞門友純(ともいと)(1864~1926、号は春翠(しゅんすい))は明治維新直前に生まれ、住友家を近代企業へ転換させた功労者だが、文化芸術にも造詣が深い。友純とその息子二人が各様に集めた洋画44点を一堂に公開する。

クロ-ド・モネ「モンソー公園」 1876年

 友純の生家は京都の徳大寺家だが、住友家に養子に入り、30歳で15代当主を継いだ。激動期に大店(おおだな)を任された友純は1897年、米欧視察に赴く。途中、パリでクロード・モネ2点を含む複数の洋画を買った。

クロ-ド・モネ「サン=シメオン農場の道」 1864年

 まだ日本に西洋美術館のない時代、友純は購入した絵を新築の須磨別邸で公開。併せて浅井忠、鹿子木孟郎(かのこぎたけしろう)ら洋画家を支援、関西美術院創設も助ける。米欧視察時、富豪が文化芸術振興に私財を投じる姿を見た友純は、自身も事業の利益を社会に還元し続けた。

オ-ギュスト・ルノワ-ル「静物」 1910年代
渡辺與平「ネルのきもの」 1910年

 展示では最初のモネ2点をはじめ浅井、鹿子木、藤島武二らの絵も並ぶ。優しく調和の取れた作品群が友純の人柄を表すようだ。

浅井忠「グレ-の森」 1901年
鹿子木孟郎「加茂の競馬」 1913年

 友純の息子たちも美に親しむ。住友寛一(かんいち)は多くの芸術家と交流したが、特に洋画家・岸田劉生(りゅうせい)と懇意だった。特異な「二人麗子図」は劉生から直接買っている。他方、16代当主を継いだ弟の住友友成(ともなり)は歌人でもあった。モーリス・ド・ブラマンク「雪後」など、友成の買った絵には静かな余韻と情緒が感じられる。

岸田劉生「二人麗子図(童女飾髪図)」 1922年
熊谷守一「野草」 1972年

 明治~戦後の動乱期、住友家の3人がいかなる状況でその絵を選び、向き合ったか。眺めるうち、「住友洋画物語」のストーリーがおのずと浮かんでくるだろう。一部展示替えの予定あり。



【会期】3月14日(土)~5月17日(日) 休館日は月曜日(5月4日は開館)と4月24日(金)、5月7日(木)
【会場】泉屋博古館(京都市左京区鹿ケ谷下宮ノ前町24)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
【主催】泉屋博古館、京都新聞、日本経済新聞社
【入館料】一般800円、高大生600円、中学生以下無料※20人以上は団体割引20%、障害者手帳提示の人は無料
【関連イベント】(入館料が必要)
◇記念講演会「住友洋画コレクションの特色」
 4月25日(土)午後2時、同館講堂。山野英嗣・和歌山県立近代美術館長。100人。当日午前10時から整理券配布
【詳しすぎるギャラリー・トーク】(いずれも午後2時、展示室)
4月11日(土)中谷至宏・京都市美術館学芸員、野地耕一郎・泉屋博古館分館長
4月18日(土)梶岡秀一・京都国立近代美術館主任研究員、高階絵里加・京都大人文科学研究所教授
4月26日(日)山田諭・京都市美術館学芸員、野地耕一郎分館長
【問い合わせ】泉屋博古館075(771)6411

 ※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、催しが中止になる場合があります。あらかじめご了承ください