3月に開催された挙式で、ウエディングロードを歩く新郎新婦(京都市内)

3月に開催された挙式で、ウエディングロードを歩く新郎新婦(京都市内)

 終息のめどが立たない新型コロナウイルス。感染予防で市民生活が「自粛ムード」の中、結婚式を予定していたらどうするだろうか。招待者に配慮して延期するか。人生の一大イベントとして予定通りに挙行するか。今月、4人の友人から式に招かれた記者が、悩める新郎新婦たちの思いを探った。

■「不安ない時に」「気持ち高まっている」
 「結婚式は延期することに決めました。日程を調整していただいたのに申し訳ありません」。今月7日、約2週間後に京都市内で式を挙げる予定だった友人の会社員男性(29)からメールが届いた。ウイルス感染拡大を受け、招待した50人に開催か延期かの希望を聞き取ったが、記者を含めて延期を望む声はなかったという。「うれしかったけど、それは自分たちのことを思っての返答。祝い事には、やはり、誰一人不安なく参加してほしいという気持ちが勝った」と、苦渋の決断を語る。
 新型コロナウイルスの影響で、多くの人が集う結婚式・披露宴の延期は全国で増加している。大津市内の結婚式場でも同様の傾向で、スタッフらは開催時の対応に追われている。
 「アクアテラス迎賓館」(浜大津4丁目)など、32都道府県で結婚式場を運営する「テイクアンドギヴ・ニーズ」(東京都)は、各式場でスタッフの体調管理などを徹底。感染の危険性を考慮した遠方からの参列者が欠席を望んだ場合、キャンセル費用は取らないことにした。「状況が状況のため、頭を抱える夫婦は多い。一生に一度のイベントなので、できるだけ負担のないよう対応している」(広報担当者)。同市御殿浜の結婚式場「NIHO」も、式場内に大型の空気清浄機を設置したほか、扉やエレベーターのボタンに至るまで消毒するなど、感染対策を強化している。
 開催を選択した友人夫婦もいる。「開催するか見送るか、直前まで本当に悩みました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。来てくださった皆様に、心から感謝します」。3月上旬、京都市内で開催された結婚式。ウエルカムスピーチで新郎(30)がまず口にしたのは、参列者への感謝と、この時期に開催したことに対する複雑な胸中だった。
 夫婦は、昨夏から準備を進めていた。今年2月中旬ごろからウイルス感染拡大の報道が気になり始めていた。参列者たちとも相談し、「準備は全て整い、夫婦の気持ちも高まっていた。この先、さらに悪化して開けなくなる可能性もあった」と打ち明ける。
 迷いはあったが、式当日の会場は、大勢の参列者で祝福ムードに包まれた。バージンロードを歩く新婦(29)のはにかむ様子が印象的だったという新郎は、式を終えた今「正直不安はあったが、やってよかったと言いたい。もしかすると、式を敢行できた最後の境目だったかもしれない」と語る。
 記者の手元にはあと2通の招待状がある。ウイルス問題の早期終息を願うばかりだが、開催にしろ、延期にしろ、新しい生活を始める友人夫婦の大きな苦悩と決断があることを心にとめておきたい。