インターネットで出回っている漫画などの海賊版を規制するため、政府は著作権法改正案を国会に提出した。

 これまで無断掲載と知りつつダウンロードすれば違法となる対象は、音楽や映像に限っていたが、法改正で漫画や雑誌、論文など全著作物に広げる。

 漫画の海賊版による損失は、出版社が試算したところ、月5億円に上ったという。法改正によって、海賊版のダウンロードに歯止めが掛かることが期待されている。

 ただ、海賊版サイトの多くは海外のサーバーを利用しており、摘発は難しい。そこで法改正はネット利用者側に重点を置き、違法ダウンロードを規制し、同時に違法行為の自制を促すようにした。

 しかし、何が違法となるのか、分かりにくいところがある。多様で有益なネット利用を萎縮させないか懸念もある。

 政府には、一般のネット利用者の目で、あいまいなところがないか点検し、違法となる事例を具体的に挙げて、分かりやすく説明してほしい。

 改正案は昨年1月に国会提出を目指したが、漫画家らから「創作の萎縮を招く」などの反発があり、有識者検討会で改めて議論していた。

 今回の改正案は、規制対象が広すぎるとの批判を受けて、対象を絞っている。規制対象にならない例として「軽微なもの」「著作権者の利益を不当に害しない『特別な事情』がある場合」「数十ページの漫画の1こまといった一部にとどまる」などを示している。

 さらに、漫画家らから要望のあったパロディーなど2次創作物のダウンロードや、無断掲載された画像がスマートフォンなどのスクリーンショット(画面保存)に写り込んだ場合も違法ではない。

 ただ、実際にネットを使っていて判別できないこともあろう。拡大解釈などで脱法行為の余地ができるとの指摘もされている。

 海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」の運営を違法化したのは一歩前進だ。監視し、違法があれば積極的に摘発すべきだ。

 海賊版サイトを完封するには、この法改正では不十分だ。それでも違法ダウンロードと規定することで、アクセスを少なくし、広告収入を減らす効果はあろう。

 違法と知らずにダウンロードする利用者も少なくないので、これを機に広く知らせる必要がある。子どものうちからネット利用のルールを学ぶことも大切だろう。