京都市バスの停留所に、ベニヤ板が置かれている。慣れ親しんだ現在の時刻表が張ってあり、20日のダイヤ改正でお役御免となる。新ダイヤは、すでに所定の位置にある▼春は別れの季節だ。卒業や転勤で、大事な人がいなくなる。居座り続けるのは新型コロナウイルスくらいか。ベニヤ板の時刻表より先に、20年間運行した「100円循環バス」も姿を消す▼土曜と休日に中心部の四条、河原町、御池、烏丸各通を、ぐるぐると反時計回りする。100円均一の運賃が乗客を呼び、車の都心流入を抑えるのに貢献したとされている。一時は、時計回りも検討された▼赤字続きなので、運行をやめるという。「歩くまち」を掲げる市が歩道を広げ、車道の狭くなった四条通が、走りにくくなったこともあろう▼100円で走るバスを先に計画したのは、全国で初めて運賃を値下げしたタクシー会社エムケイだった。同社との競合を避けたい市は、オーナーだった故青木定雄さんの「大胆な改革案を示せば中止する」との発言を受けたかたちで、循環バス導入に踏み切る。いわく付きでもあった▼人口減社会となり、地方はバス路線の維持に苦労している。供給過剰につながるような運行は、難しい時代となったようだ。一バス路線の卒業に、考えを巡らす春である。