新型コロナウイルスの感染拡大が、世界の株価を直撃している。

 12日の米ニューヨーク株式市場のダウ工業平均株価は1987年10月の大暴落「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」以来となる約1割の下落率を記録した。

 東京株式市場でも日経平均株価の下げ幅が30年ぶりに一時1800円を超え、平均株価が1万7000円を割り込む場面があった。

 欧州やアジアの株式市場も軒並み値を下げている。

 世界経済に対する不安が連鎖的に高まっているといえる。最大の対策は感染拡大を防ぎ、企業活動を元通りにすることだが、投資家や消費者の懸念を払拭(ふっしょく)するための大胆な対応策も必要だ。

 日本政府は各国と協調し、実効ある策を打ち出してほしい。

 ニューヨーク市場の暴落は、世界保健機関(WHO)の「パンデミック」表明に続き、トランプ米大統領が英国以外の欧州からの入国を30日間停止すると表明したことを引き金に、航空業界や観光産業の株価を大きく引き下げた。

 東京市場も、企業業績への懸念の高まりから、株式の投げ売り状態が続いた。トランプ氏が東京五輪の延期に言及したことも、五輪の経済効果を見込んでいた市場の混乱を誘ったようだ。

 感染拡大の懸念から外出が抑制されて国内消費が低迷し、街角の景気実感を示す指標は低下している。企業の業績悪化は賃金や雇用にも影響を与えかねず、景気の先行きを見通しにくくしている。

 各国はすでに対策を進めている。米英は利下げに踏み切り、欧州中央銀行(ECB)も量的金融緩和の拡大を決めた。日銀も来週の金融政策決定会合で追加緩和の必要性を検討する見通しだ。

 ただ利下げや緩和を進めても、企業活動が停滞していては効果も限定的だ。イベント自粛などを求めている中で消費を促す対策を打つのは、ブレーキとアクセルを同時に踏むような難しさがある。

 政府・与党は、大規模な予算措置も念頭に緊急経済対策を4月にもまとめる準備に入っている。

 これまでに政府が示した対策は学校の臨時休校に伴う収入補償や無利子・無担保の貸付制度などが主力で、政府の要請で自粛したイベントの損失などは含まれない。

 新たな対策では、就職内定を取り消された人などを含む「実害」へいっそうの目配りが必要ではないか。ばらまきに陥らないよう、必要な部分に的を絞った制度設計が求められる。