関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役(故人)から巨額の金品を受け取っていた問題で、同社の第三者委員会は、元助役の要求に応じて工事を発注する便宜供与があったと認定した。

 元助役からの金品受領は1987年ごろから30年以上も続き、役員ら75人が受け取った現金や商品券などは、計約3億6千万円相当に上るという。

 関電役員らは代々、元助役の関連企業に競争入札を経ない「特命発注」や、元助役と発注額の事前協議を繰り返していた。

 第三者委は、元助役の金品提供の主な目的が、関電に自分の関係する企業へ工事を発注させ、受注企業から経済的な利益を得ることだったとした。

 原発が立地する地域の有力者と電力会社の異様な癒着ぶりが際立つ。原発事業を巡る「もたれ合い」の構図が浮き彫りになったと言えよう。

 原発の稼働には、地元の理解と協力が欠かせない。関電としては元助役にトラブル処理などの地元調整を丸投げでき、元助役はその見返りに関電から工事発注を引き出せる。

 金品の受領や便宜供与も円滑な原発運営の「必要悪」だ-。そんなゆがんだ考えが関電側にあったとは言えまいか。

 関電は金品受領問題に関する社内調査の報告書が2018年秋にまとまっても取締役会に示さず、問題を公表しなかった。第三者委は公表見送りを決めたのは当時の会長と社長、相談役の3人で、責任は特に重いと断じた。「関電は被害者ではない」との指摘を真摯(しんし)に受け止める必要がある。

 関係者の刑事告発について第三者委は、元助役の死去で確実な証拠がないことなどから難しいとの認識を示した。関電は社長の交代を発表し、相談役らの辞任も公表したが、これで問題を幕引きとしてはならない。

 経済産業省はきのう、重要インフラを担う会社として経営体制に問題があるとして、関電に電気事業法に基づく業務改善命令を出した。同社は再発防止策を検討する「経営刷新本部」を設けて6月末をめどに対策をまとめるとした。身内に甘い企業体質の抜本的な改革が不可欠だ。

 還流した金が電気料金に上乗せされていたのかなど、未解明な点は多い。関電の新経営陣は他の原発でも同様の癒着がなかったのかなどを徹底調査し、信頼回復に取り組む必要がある。