指針に盛り込まれた主な行動

指針に盛り込まれた主な行動

 京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオの放火殺人事件を受け、市消防局はこのほど、ガソリン放火による大規模火災を想定した「火災から命を守る避難の指針」を明らかにした。生存者からの聞き取りを基に、2階から飛び降りる方法や、外気を吸うのに有効な姿勢の確保といった緊急避難策を示した。

 第1スタジオは建築基準法の基準を満たし、避難訓練を行っていたにもかかわらず、らせん階段を通じて急激に煙が建物全体に蔓(まん)延し、死者36人を出す大惨事となった。指針では、危険レベルを「階段が使用不可能」「避難者が煙に覆われた危機的状況」など3段階に分けた上で、7項目の行動を導き出した。
 屋外に脱出した37人(後に3人死亡)のうち27人は2階のベランダと窓から飛び降りるなどして一命を取り留めた。指針では、2階以上の階にはしごやロープの設置を推奨。これらがない場合、窓枠などにぶら下がって地面までの距離を短くすることで、けがを最小限に抑える飛び降り方を示した。
 濃煙が室内に蔓延した場合に顔を窓の外に出して「くの字」に腰を曲げる呼吸法を示し、「避難限界時間を延ばせる」とした。煙で周りが見通せない環境下で、壁と床の隅に残る空気を吸いつつ、四つんばいで進む避難術も紹介した。
 社員の中には犯人への恐怖心からトイレに逃げ込んで扉を閉めたことで結果的に煙の流入を防いだ例があったことから、煙から逃れるため扉などで区切られた場所の確保を求めた。
 市は今後、査察や防火指導を通して事業所や市民に周知し、ホームページにも載せる。

■社員「人命助かる対策進めて」

 京都市消防局は聞き取りに応じた社員の思いを指針に掲載した。その一部は以下の通り。
 当日は、訓練でシミュレーションした以上に考えるゆとりもなく、想定通りにいきませんでした。煙の勢いが速く、平常時から緊急時への心の切り替えもできない状態でした。火災発生から自分が建物を脱出するまでは、1分ほど。一刻も早く建物の外に出ることが大事だったと思います。この事件をきっかけに、防災について考え、今後、人命が助かる対策がより進んでほしいと思います。