商業地で京都府内上昇率1位の東山区役所前付近(京都市東山区清水5丁目)

商業地で京都府内上昇率1位の東山区役所前付近(京都市東山区清水5丁目)

 国土交通省が発表した2020年の京都府の公示地価は、京都市中心部の上昇幅が縮小し、周辺部や近郊地域の上昇が目立った。府全体は前年比プラス2・6%と上昇が続くが、京都市内では宿泊施設の供給が需要に追いつき、「お宿バブル」とも言われた急激な地価高騰は落ち着く兆しが出ている。

 京都市では近年、好調だった観光業が商業地の地価を押し上げてきた。17年には東山区祇園地区の調査地点の上昇率が全国6位となり、以降はトップ10入りが続いた。今年はプラス23・9%の東山区をはじめ、下京区や南区で2桁台の上昇が続いたが、いずれも前年の伸びは下回った。上昇率の全国順位も下がり、府内で最も高いのは東山区清水5丁目の30位だった。
 市中心部や観光地周辺ではこの間、宿泊施設が急増し、地域生活が脅かされる「観光公害」が顕在化した。市も民泊を規制する独自条例を制定し、昨年以降は宿泊施設の誘致から規制へと方針を転換。特に市中心部では、宿泊施設の用地需要に一服感が生じている。一方、西京区や伏見区、右京区など市周辺部では上昇幅が拡大。亀岡市では、サンガスタジアム京セラ(府立京都スタジアム)の建設で店舗需要への期待感が高まり、下落から横ばいに転じた。
 住宅地は、京都市の11区のうち10区で上昇。下落が続いていた山科区も、駅徒歩圏内の地価が上がり横ばいとなった。長岡京市、向日市、宇治市、城陽市などの近郊地域も上昇が目立ち、地価が高騰する市中心部から周辺部へと宅地需要の広がりがうかがえる。
 工業地は、ネット通販の増加で物流施設向けの土地需要が高まるなどし、府全体で好調に推移した。京都市内では、交通面や労働力確保で有利な南区や伏見区が上昇した。23年に完成する新名神高速道路への期待感から、宇治市や城陽市など南部が伸びた。
 南丹市以北は下落が続き、京都市や南部との二極化が進む。ただし工業地は、京都縦貫自動車道や舞鶴若狭自動車道に近く、都心部と比較した割安感から綾部市が横ばいから3・7%の上昇に転じ、舞鶴市も下落幅を縮めた。住宅地は全市町で、商業地は宮津、舞鶴、綾部の3市と与謝野町で下落幅が縮小した。
 京都市内で近年の地価上昇をけん引してきた観光業は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けている。不動産鑑定士の村山健一氏は「他府県に比べ京都は観光業の動向が地価に反映されやすい。終息に時間がかかれば、来年の地価に影響が出る可能性は大きい」としている。