小型艇のエンジンを調整する小林さん(舞鶴市北吸・海上自衛隊北吸桟橋)

小型艇のエンジンを調整する小林さん(舞鶴市北吸・海上自衛隊北吸桟橋)

海上での厳しい業務を遂行するために必要な専門知識を学ぶ女子学生たち(手前)=舞鶴市長浜・海上保安学校

海上での厳しい業務を遂行するために必要な専門知識を学ぶ女子学生たち(手前)=舞鶴市長浜・海上保安学校

 京都府舞鶴市は、日本海を守る海上自衛隊の地方総監部と海上保安庁の管区本部がある全国でも珍しいまち。「男性職場」のイメージが強い海の現場で近年、女性の姿が増えている。最前線で働く隊員や、夢に向けて学ぶ学生を追った。

■「気負わずに」「後輩に道示す」

 海上自衛隊では約4万2千人の隊員のうち、7%に当たる約3千人が女性だ。日本海側唯一の拠点である舞鶴地方総監部や、舞鶴を母港とする艦艇でも多くの女性が働く。
 大型艦艇が停泊する舞鶴市北吸の海自北吸桟橋。同市出身の3等海曹小林睦さん(28)が黙々と小型艇のエンジンを整備していた。小林さんは1児の母。入隊3年目で結婚、出産した。フレックスタイム制を利用し、舞鶴警備隊の多用途支援艦「ひうち」のエンジン操作や燃料の管理などを担当する。
 専門知識習得のため、2歳の娘を実家に預けて約5カ月間神奈川県の学校で学んだことも。作業で油まみれにもなるが、4月から小学生になる娘が「母ちゃんかっこいい。将来一緒の船に乗りたい」と言ってくれるのが励みだ。「力仕事も多いが、女性だから、と考えず何でもやっている。気負わず楽しいことを見つけていけば大丈夫」と、後輩や海上自衛官を目指す学生たちにエールを送る。
 昨年4月入隊の大西美咲さん(19)は約5カ月間、神奈川県の横須賀教育隊で訓練を受け、同9月から舞鶴基地業務隊で経理担当として勤務する。大阪府富田林市出身。航海士に興味があり、航空自衛隊員の兄の勧めもあってこの道に進んだが、友人らから驚きや心配する声もあったと振り返る。
 大学などに進学し、学生生活を満喫する友人の話を聞き、うらやましく思ったりするが、「自分で決めた道に悔いはない。結婚、出産しても仕事を続ける」と意志は固い。
 舞鶴市に本部を置く第8管区海上保安本部の女性職員比率は5・5%(2019年4月)。人数は09年の3倍以上となった。同本部人事課の鈴木祐司・第一人事係長は「男女の区別はしていないが、女性や子どもへの対応では、安心してもらえるなど業務がスムーズに進む」と期待する。
 海上保安官を養成する海上保安学校(同市長浜)では近年、尖閣諸島周辺の警備強化などで役割が重要となり、学生数も増加。19日現在、601人中91人が女性で、男性と同じ実習や訓練をこなしている。
 通信機器の運用管理や海上犯罪取り締まりの知識を学ぶ情報システム課程の根本真奈さん(20)は2年の課程を終え、21日に卒業。女性初の潜水士を目指す。茨城県出身。高校3年の夏、映画「海猿」を見て「荒れた海に飛び込み人を助ける姿がかっこいい」と大学進学から進路を変え、入学した。泳ぎは得意だが体力面では男性と比べてしまうことも。しかし、「体力差は当たり前。少しでも付いていこう」と、自由時間に走ったり、筋トレをしたりして努力を重ねた。
 転覆船内などに残された人の救出や捜索に当たる潜水士になるには、数年現場で働き、選抜されて研修を受け、国家資格を取得する必要がある。「海保で初めての女性潜水士になりたい。頼りにされる保安官が目標」と意欲を語る。
 海の交通整理を担う運用管制官を育てる管制課程初の卒業生、本山陽菜さん(20)=佐賀県出身=は父親も海上保安官。「父の仕事を見て育った。海上保安部の職場体験にも参加し、海を守る仕事がしたいと思った」。春からは、船舶が安全に航行できるよう情報を提供する海上交通センターで働く。「女性もこういうキャリアパスがあると後輩に示せるようになりたい」と目を輝かせている。