明智かめまるグッズ

明智かめまるグッズ

 1年半前の丹波総局(京都府亀岡市)に赴任直後、執筆した記事に、亀岡市内の読者から抗議のはがきが届いた。職業柄、役所からの苦情には慣れているのだが、「怒りを覚える」との強い表現に、戸惑った。

 記事では、織田信長のお膝元、名古屋市出身者として、明智光秀に良い感情は持っておらず、光秀の部下という設定の市観光マスコットキャラクター明智かめまるを見ると「不愉快」「敵陣に乗り込んだ気持ちになる」と書いた。これに対し、「かめまるファンとして、不愉快極まる」との抗議が寄せられ、文面はかめまるへの愛情にあふれていた。
 亀岡に来るまで、自治体のキャラには疑問を抱いていた。ブームに乗って乱立し、全国コンテストに「組織票」を動員するところもあったためだ。京都市政担当時、区役所キャラの着ぐるみが倉庫に眠り始め、安易に税投入する行政を批判したこともある。読者の苦情は皆無だった。
 なので、抗議には驚いた。かめまるは、何者か。知りたくなった。原作者へ会いに行くと光秀の逆賊イメージを薄め、優しさを強調するために、当時1歳だった次女の顔をモデルにした、との秘話を聞いた。以後、かめまるに取材で何度も出会ったが、いつも子どもたちに囲まれる人気者だった。
 誕生から今年で10年。熱狂的な「ゆるキャラ」ブームは去り、他都市では消えつつあるキャラも多い中、かめまるは変わらず市民に愛されている。全国的な知名度を追い求める流れとは一線を画し、地域活動を重視した成果だろう。これまで亀岡市政を批判する記事を数多く書いたが、はがきを買う手間を掛けてまで届けられた抗議文は、この1通だけだった。
 今、かめまるは、私の財布と携帯電話ストラップで、優しくほほ笑んでいます。4月1日付で異動となりますが、かめまるファンの一人として(光秀ファンではない)、亀岡を離れます。だもんで、みなさん、どえりゃあ、お世話になりました。