歴史がある活動でも、負のスパイラルに陥ると、反転させるのは容易でない。73年前から地域福祉の充実を支えてきた赤い羽根共同募金もその一つだろう▼集め方や配分先が固定化し、時代のニーズに対応できていないと改革の必要性が叫ばれ、新しい試みが各地で始まった。それでも全国的に低迷が続く中、2019年度の募金額がプラスに転じた甲賀市社会福祉協議会の取り組みが注目を集めている▼募金額が過去10年間で25%減り、18年度は1800万円を割った。「そもそも共同募金って何やろ」「募金が増えれば改革になるのか」。職員6人のチームで議論を始めた▼身近な福祉に必要だと実感してもらうため、新たな助成先を初めて公募し、選考委員を大学生や地元企業社員らでつくる「応援団」に委ねた。公開審査を経て、空き家を改装した多世代交流拠点づくり、不妊治療の支え合いなどを行う4団体を選んだ▼身近さをPRしようと、市民の応募と投票で決めたデザインで地元の共同作業所が作った陶製バッジも人気を呼ぶ▼共同募金は誰が使っているか分からない、の声も改革の背を押した。「問題の根は金額でなく住民から遠い存在になっていたこと」とチームを率いた大倉崇弘さん(47)。増加額は80万円だが成果はそれ以上だったろう。