西山さんの再審開始や無罪を訴えて署名活動を続けてきた伊藤さん(米原市梅ケ原)

西山さんの再審開始や無罪を訴えて署名活動を続けてきた伊藤さん(米原市梅ケ原)

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年に患者を殺害したとして殺人罪で服役した西山美香さん(40)の再審の実現には、中学時代の恩師たちも支援してきた。その一人、伊藤正一さん(72)=米原市梅ケ原=は、元同僚や西山さんの両親と街頭に立ち、本人に代わって無実を訴え続けた。「再審開始まで不安と期待が入り乱れた気持ちでやってきた。ようやくここまで来た」との思いを胸に、31日の判決を迎える。

  西山さんが冤罪(えんざい)を訴えていると知った母校の元教頭が「何かできないか」と呼び掛け、13年2月に「支える会」を発足させた。社会科を教え、生徒指導担当だった伊藤さんは、元校長らと世話人として加わった。
 最初は勉強から。自白の変遷など、捜査の経緯や裁判の争点を知った。中学時代、ちゃめっ気たっぷりに話しかけてきてくれる一方、人と関わるのが苦手で、威圧的な言動には何も言えなくなる西山さんの姿を思い出した。「完全に警察官に誘導されている」。冤罪を確信した。
 元教員たちは月1回程度、地元彦根市内のスーパーや駅前、催し会場で、再審開始や証拠の全面開示を求め署名を募った。伊藤さんの目には、車いすから頭を下げる西山さんの母令子さん(69)の姿が焼き付いている。これまで、大津地裁と大阪高裁、最高裁に計2万7千筆超を提出した。
 西山さんが満期出所した17年8月24日、和歌山刑務所近くの会場で支援者約20人とねぎらった。中学卒業以来の再会となった西山さんは、一人ずつ丁寧に受け答えする大人になっていた。成長した姿を見られた喜びと同時に、20~30代が理不尽に奪われたことに怒りがこみ上げた。既に無罪は確定的だが、「判決まで安心は得られない。一日も早く汚名がそそがれるべき」と、27日も大津地裁に署名を提出した。
 無罪が決まれば、支える会は解散する。伊藤さんは「これからの人生で困難があっても、彼女はつぶれない。再審を巡って築いた関係を大切に、幸せになってほしい」と願っている。