持参したエコバッグに商品を詰め替える買い物客(亀岡市荒塚町・スーパーマツモト荒塚店)

持参したエコバッグに商品を詰め替える買い物客(亀岡市荒塚町・スーパーマツモト荒塚店)

 京都府亀岡市内の小売店などで来年1月からプラスチック製レジ袋の提供を全面禁止する全国初の市条例が24日、成立した。プラごみ汚染から保津川などの自然を守るため、7月に始まる国の有料化義務より厳しい規制に乗り出す。レジ袋禁止は世界的な流れで注目を集めるものの、市の準備不足に商業者の不安は根強く、施行に向けて課題は山積する。

■プラ規制「日本は遅れている」

 同日夕、亀岡市内のスーパー。昨年8月から市の要請を受けてレジ袋を有料化し、大半の買い物客がエコバッグを持参している。買い物客(62)は「これまでレジ袋をもらい過ぎていたが、マイバッグを持てば影響はない」と条例に理解を示す。
 条例化は、川の清掃を続ける保津川下りの船頭たちの活動がきっかけ。プラごみで環境や景観が損なわれる現状に危機感を抱いた市は、規制に動き出した。保津川遊船企業組合の森田孝義エコ・グリーン対策委員長(48)は「環境に関心がなかった人もごみ削減に協力するきっかけになる」と喜び、市のアドバイザーを務めた原田禎夫・大阪商業大准教授も「外国で使い捨てプラの規制が強まる中、日本は遅れている。亀岡の条例は第一歩にすぎず、他自治体と一緒になって取り組む契機になる」と広がりを期待した。

■店主「掛け声だけで実行伴わない」

 ただ、クリアすべき壁は多い。代替品の紙袋はプラ袋の10倍以上のコストがかかり、中小商店の負担は重い。市は昨年1月、共同購入制度の導入に言及したが、この1年間、ほとんど進まなかった。市が「今年11月」という配布時期を示したのは、3月議会で批判が噴出してからで、茅嶌誠二・市商店街連盟副会長(57)は「市は『支援策を検討する』と言うだけだった。新型コロナウイルスの影響もあり、施行に間に合うのか」と不信感を抱く。
 コンビニが不安視するのは、市外客への周知だ。市は5月にも問い合わせ専用ダイヤルを設ける予定だが、店の経営者(62)は「客とのトラブルが起こる夜間につながらないと意味がない。従業員がさらに集まらなくなる」と嘆息する。
 市の組織体制にも疑念がある。市は2018年12月、今年3月末までに約760の全小売店でレジ袋有料化を要請すると表明。スーパー数社は応じたものの、無料提供を続ける大規模店や大手チェーン店も少なくない。市は現在、有料化した店舗数さえ「把握していない」(市環境政策課)状態で、70代の食料品店主は「『保津川を守る』との掛け声だけで実行が伴っていない。レジ袋を大量排出する大型店は黙認し、物を言いやすい小規模店に罰則を適用されたらたまらない」と心配する。

■不安解消し効果説明を

 全会一致で条例案を成立させた議会も、こうした声を受け、「1月施行」に全面賛成しているわけではない。全国から注視される条例を「否決すれば亀岡の恥をさらしてしまう」との危機感があった。この日、議会と市で施行日を再協議する付帯決議案も全会一致で可決され、与党市議は「このままでは混乱は必至で、商業者の不安が収まらなければ議会の判断で延期もあり得る」と打ち明ける。
 会見した桂川孝裕市長は、市民の7割超が賛成しているとのアンケート結果を踏まえ、「市民の賛成が推進力につながった。不便になるのは事実だが、子どもの世代に美しい古里を残す」と述べ、不安の声にも配慮しながら、対策を進める姿勢を示した。
 市には全国から視察が相次ぐ。成功すれば全国モデルになるものの、混乱すれば他自治体は二の足を踏み、プラごみ削減の動きを鈍化させかねない。市民や商業者が「我慢」した先に、亀岡はどう変わるのか。理念だけではなく、市に届いた不安の解消に努めるとともに、効果を分かりやすく示す必要がある。

【亀岡市プラスチック製レジ袋提供禁止条例】

<内容>
(1)小売店だけでなく全ての店舗、事業所が対象
(2)事業者(店舗)は、プラ製レジ袋を有償無償問わず、提供してはならない
(3)事業者は、水と土に溶ける生分解性袋(紙製など)でも無償で提供してはならない
(4)市は事業者に立ち入り調査できる
(5)市は違反した事業者に是正勧告できる
(6)市はごみ削減に努めた市民、事業者を表彰できる
<罰則>
〇是正勧告に従わなかったり、立ち入り調査を拒否した場合、市が事業者名を公表できる。公表する際は、第三者機関の審査会で審議する。
<施行>
〇2021年1月1日施行。罰則は21年6月1日施行