今年、世界全体の実質経済成長率はマイナス1・5%になるとされる。各国の主要金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)の最新の予測である。

 マイナス成長は、リーマン・ショック後の2009年以来、11年ぶり。日米欧などは、軒並みマイナスに転落する見通しだ。

 新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大で、経済活動が停滞しているのが主因である。

 国民生活を守るためには、ウイルスの制御に加えて、緊急の経済対策が必要となろう。

 米国は、総額約220兆円に上る対策を実施すると表明した。国内総生産(GDP)の1割に近い規模となる。同様の対策を打ち出す国は、ほかにもある。

 これに倣ったのだろうか。日本の政府・与党も、国の財政支出をリーマン後の15兆円以上とし、民間支出を加えた事業規模を30兆円超とする方向で調整を始めた。新年度の当初予算が成立する今月末から、協議を本格化させる。

 昨年末にまとめた経済対策と合わせると、事業規模は50兆円を大きく超え、米国などと足並みをそろえることになる。

 先に決定した日銀の追加金融緩和と協調して、景気を下支えしてもらいたい。

 とはいえ、大切なのは規模だけでなく、実体経済の活性化につながるかどうかだ。

 すでに行っている各業界関係者からの聞き取りでは、感染拡大に伴う外出やイベントの自粛で、観光業や飲食業の売り上げが激減している。航空会社などの業績悪化も懸念される。

 体力の弱い中小企業と併せて、資金繰りの支援や税の減免などを行わねばならないだろう。

 難しいことではあるが、落ち込んでしまった消費を、何とか元に戻すべきだ。

 これに関して、与党の一部議員や野党から、消費税を減税すべきだとの声が上がっている。国民に現金や商品券を支給することも、検討されているという。

 消費減税は、実施前に買い控えが生じ、かえって消費を冷ますのではないか。過去の経済対策では、一律に現金などを給付しても貯蓄に回った可能性がある。

 せっかくの対策が無駄にならないよう、どこに支援の手を差し伸べたら効果があるのか、細かい目配りと工夫が要る。

 対策の実施に、赤字国債の追加発行は避けられそうにない。国民の理解を得ることが不可欠だ。