愛されネコの仲間たち
スウェーデンを代表する陶芸家リサ・ラーソンさん。ネコやライオンなどの動物、人物をモチーフにした愛らしい作品は世界中の人々を魅了してやまない。特別展「リサ・ラーソン―創作と出会いをめぐる旅」が、甲賀市信楽町の滋賀県立陶芸の森陶芸館で25日開幕する。初期から近年までの代表作を中心に、身近で感化しあった作家たちの作品など計240点を展示し、創作の旅路をたどる。

素朴で温かみのある作風、伸びやかで自由な造形で知られるリサ・ラーソンさんは1931年に生まれた。同国最大の陶芸制作会社だったグスタフスベリ社に在籍した計26年間に有名な動物シリーズなど約320種類の作品を発表、国民的作家となった。88歳の今も活動を続けている。

特別展は陶芸の森開設30周年記念で、信楽でラーソンさんの作品展開催は5年ぶり2回目となる。40年代の幼少期の木製人形から陶磁器、テーブルデザインやレリーフ、2000年代のイヌなど自身が所蔵するユニークピース(一点もの作品)などを年代別と作品モチーフ別に紹介する。


珍しい作品が楽しめるのも特徴だ。動物園シリーズは50年代の美術学校時代に作ったネコを、グスタフスベリの工房で試作したことがきっかけ。今回は、しっぽをピンと立てリズミカルに歩く姿が印象的な学生時代の作品を見ることができる。


ラーソンさんの節目の一つになっている米国の滞在制作にもスポットを当てる。アメリカ陶芸のパイオニア、ピーター・ヴォーコスを訪ねた時の60年代の「ヴォーコスにインスピレーションを受けたウマ」は、ラーソンさんから陶芸の森に寄贈されたもので普段は非公開だが特別に展示。アメリカの前衛の波に刺激を受けて作風が変遷したことがうかがえる。


グスタフスベリの上司で彼女の才能を見いだした北欧デザイナーのスティグ・リンドベリや日本で出会った民芸の陶芸家濱田庄司らの作品に加え、インドや中米の人形など海外の旅先で収集された品々も並べ、旅と出会いから新たな魅力や創作の芸術的背景を浮き彫りにする。

陶芸の森とのコラボでラーソンさんがデザインした「生命の樹」モニュメントの基となった「ファンタジー・ツリー」など見どころは尽きない。担当の三浦弘子専門学芸員は「一つ一つが温かく、表情があって焼き物の可能性を感じさせてくれるのがリサ・ラーソン作品。ものづくりのインスピレーションが散りばめられた展覧会を楽しんでほしい」と話す。
写真はすべて(C)Lisa Larson/Alvaro Campo
【会期】3月25日(水)~5月31日(日)月曜休み
(5月4日は開館、同7日は振替休館)
【開館時間】午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】滋賀県立陶芸の森 陶芸館
(甲賀市信楽町勅旨)0748(83)0909
【入場料】一般800円、高大生600円、中学生以下無料(20人以上の団体割引あり)
【主催】 滋賀県立陶芸の森、京都新聞
【関連行事】 ギャラリートーク=4月26日午後1時半から
※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、催しが中止になることがあります。