おもちゃを消毒する保育士ら。感染拡大を受け回数が増えた(京都市中京区)

おもちゃを消毒する保育士ら。感染拡大を受け回数が増えた(京都市中京区)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府の方針を受けて全国の小中学校で休校が続いた中、多くの保育園は開園を続けた。国や自治体は共働き家庭への配慮などを理由に挙げるが、保育関係者は園児の感染防止に神経をすり減らす。子育て中の保育士の負担も大きい。京都市内の保育現場を取材した。

 中京区のある保育園。マスク姿の保育士ら2人が小さなおもちゃを一つ一つ丁寧に消毒し、タオルの上に並べた。布製のおもちゃは洗濯機にかけ、ベランダに干した。感染拡大を受け、2~3時間に1回と消毒の回数を増やした。「手ががさがさ」。保育士は苦笑いを浮かべた。
 「園児が感染したらどうしよう」。総園長の丸尾知代さん(53)はため息をつく。業務量は3倍に増えたが、小学校や幼稚園の休校期間は保育士ら2人が休んだ。「ぎりぎりのところでやっている」。緊張感は解けない。
 一方で、政府や市の対応に疑問を感じる。今月7日、市が保育園や認定こども園などにマスクを配布すると聞き、保育士が取りに行ったが、「リストに入っていない」と断られた。同園は内閣府所管の企業主導型保育園で、市の認可園ではない。「私たちは保育士じゃないのか」と不信感が募る。
 「子どもの命と健康を守る」「働く保護者のために」。原則開園を求める政府や市の説明に丸尾さんは一定理解を示しつつも、「大人の都合で子どもの命がはかられているようで納得できない」と本音を漏らす。

■我が子には悪いが…

 京都市在住の保育士林拓己さん(36)は夫婦共働きで、小学2年の長男(8)を休校期間中に受け入れに対応した学校に通わせ、自身は勤務を続けた。
 受け入れは「特例」で、学校に来た児童はそれほど多くなかったが、「感染の不安はある。なるべく学校に行かせたくない」と感じていた。欠勤すれば他の職員がカバーしたり、園児の活動が制限されたりして職場に迷惑がかかる。「保育の質を守ることが私の務めだけれど、我が子には悪いなと思ってしまう」
 小学1年、4年の2児を休校中の学校に通わせた西京区の男性保育士(45)も「保育士が休むと現場が回らないのが実情」と話す。
 政府の休校要請を受けて厚生労働省は2月末、保育士の欠勤で人員基準を満たせない状況もやむを得ないとの趣旨の見解を都道府県に連絡したが、京都市は基準を守る姿勢をとり続けた。市幼保総合支援室は「保護者には可能な限り家庭での保育を依頼している」とするが、保護者への呼び掛けは各園で濃淡がある。
 人員確保は、小規模園ではさらに深刻な課題だ。市小規模保育協議会が3月11~14日に実施した加盟園のアンケートでは、22園のうち16園が「登園状況にほとんど変わりはない」と回答した。一方で、「保育士が(子どもが通う)小学校や幼稚園の都合で勤務ができなくなった」と答えた園は10園あり、「検温や記録、消毒など業務量が増えた」「職員のストレスが心配」などの声も挙がる。
 小規模園は事務員がいない園も多く、負担は増すばかり。左京区で小規模園など2園を運営する同協議会代表の長谷川裕さん(40)は「家庭保育の依頼や感染が発覚した場合の園の対応など、市はもっと積極的に動いてほしい」と要望する。