春の陽光を浴びた「クローン桜」の根元には大きな影が浮かび上がった(25日、京都市伏見区・醍醐寺)

春の陽光を浴びた「クローン桜」の根元には大きな影が浮かび上がった(25日、京都市伏見区・醍醐寺)

 華やぐ頭上を見上げようとすると、根元から伸びたモノクロの世界に目がとまった。醍醐寺(京都市伏見区)の三宝院のシダレザクラ。複雑な曲線を描く幹や枝の影は、薄紅色の彩り同様、この木の個性を主張しているようだった。


 桜は「クローン桜」と呼ばれている。同寺は豊臣秀吉が「醍醐の花見」を開いたことで知られ、その子孫とされる親木の桜から組織を培養し、2004年に植樹された。16年の歳月を経て立派に成長し、枝いっぱいにあでやかな花を咲かせている。
 脚立から見下ろすと、地表に浮かんだ姿は一段とくっきり見えた。色の情報が無い分、より細かい部分にも目が行き、世代を超えて世界に一つだけの美しさを見せる。秀吉流の豪華絢爛(けんらん)な花見に思いをはせつつ、そよ風にゆらめく影をじっくりと眺めるのも面白い。

  ◇     ◇

 「麗しく咲く」が語源の一つとも言われる桜。春色に染まった京都の光景を、写真記者の視点で捉える。