説明責任から逃げ続けるのなら国会議員の資格はない。

 自民党の河井案里参院議員=広島選挙区=が初当選した昨年7月の参院選を巡り、広島地検は公選法違反(買収)の罪で案里氏の公設秘書と、夫である克行元法相の政策秘書の2人を起訴した。

 地検は、公設秘書は連座制の対象となる組織的選挙運動管理者に当たるとみて、「百日裁判」を申し立てた。連座制に基づく案里氏の失職が現実味を帯びてきた。

 買収が事実であれば、選挙の公正さを損なうルール違反である。案里氏だけでなく、妻の選挙戦を実質的に仕切ったとみられる克行氏も責任を免れまい。それぞれ進んで経緯や真相を包み隠さず説明し、それでも疑惑が晴れないならば、速やかに議員を辞職すべきである。

 起訴状によると、公設秘書ら2人は昨年7月、選挙カーでアナウンスする車上運動員14人に上限額(日当1万5千円)を超えて計204万円を支払ったのが買収に当たるとされた。

 報酬に上乗せした形での買収行為とみられ、違法性を帯びた金で選挙結果が左右されることは許されない。法令順守への意識の低さは否めず、裁判を通じて選挙運動の実態を解明してもらいたい。

 ただ、秘書2人の起訴で一連の捜査が終了したわけではない。公設秘書らが独断で運動員の報酬を増額したとは考えにくい。夫妻が自陣営の資金の流れを把握していないとすれば無責任であるし、たとえ知らなかったとしても政治的、道義的な責任が問われよう。

 河井陣営を巡っては、選挙運動に従事した人に報酬を渡した別の買収疑惑が浮上、克行氏が関与した疑いも強まっている。

 だが、河井夫妻は秘書が起訴されても、おわびコメントだけで済ませ、何ら説明しようとしない。これでは疑惑は深まるばかりだ。

 地検は、国会会期中にもかかわらず河井夫妻を聴取しており、夫妻が買収にどう関与したか、果たして立件できるのか、が今後の焦点となる。徹底捜査を求めたい。

 案里氏は党本部主導で擁立され、党から受け取った潤沢な政治資金に頼った選挙運動を展開したと指摘されている。河井陣営を全面支援した安倍晋三首相ら党執行部の責任も重いと言えよう。

 まずは党として、説明責任を果たすよう夫妻に促すべきだ。同時に党の責任で早急に事実関係を把握し、政治的なけじめを付ける必要がある。