県庁前広場にある「滋賀県民の歌」の歌碑(大津市京町4丁目)

県庁前広場にある「滋賀県民の歌」の歌碑(大津市京町4丁目)

 滋賀県甲賀市信楽町を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」に代わって、3月30日から始まった「エール」。主人公のモデルとされる作曲家古関裕而さん(1909~89年)には「滋賀県民の歌」など湖国ゆかりの作品があるが、県民の認知度はいまひとつ。ドラマを機に、こうした曲に改めて光が当たりそうだ。

 古関さんは福島市出身。全国高校野球大会歌「栄冠は君に輝く」や阪神タイガース球団歌「六甲おろし」、東京五輪行進曲「オリンピック・マーチ」の生みの親として知られ、早稲田大の応援歌「紺碧(こんぺき)の空」や慶応大の「我ぞ覇者」、昭和歌謡なども含め生涯で約5千曲を残した。

 県内では、格調高い<開けよこの窓 呼べよ緑>の歌い出しで知られる彦根東高(彦根市)の校歌を手掛けた。経緯は不明だが、猪田章嗣校長(57)は3月の同窓会報で古関さんとの接点を紹介。「校歌は学校にとってすごく大切で、出来上がった時代背景に思いをはせたい。スカーレットからエールへ、徐々に盛り上がっていけばうれしい」と期待する。
 
 旧滋賀会館(大津市)の完成記念として54年に制定された「滋賀県民の歌」は<比良の峯ゆく白い雲 緑に映える琵琶の水>で始まる。県民から公募した歌詞を西条八十氏が補い、明るい曲調に乗せて戦後復興期の夢や希望を歌い上げる。県庁の正面玄関前広場には歌碑もある。
 
 ただ、99年に県が行った県民アンケートでは歌を「知らない」との回答が6割を占め、20代では9割近くに上った。「歌う機会がなく愛着が持てない」との回答も多かった。
 
 県が20年度当初予算に盛り込んだ観光振興策は、NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」にちなむキャンペーン一色で、「エール」は含まれていない。県は「放送を好機ととらえ、『県民の歌』の存在を周知できるよう取り組みたい」(広報課)としている。
 
 「県民の歌」の曲、歌詞、楽譜は県ホームページから入手できる。