西山の裾野に家が立ち並ぶ長岡京市高台西(手前)

 ガーデニング、山登り、卓球などの趣味に加え、犬や猫などペットのイラストも。氏名の隣にさまざまな情報が書き加えられた長岡京市高台西の「ご近所さんマップ」。遠回りに見えるが、まずはお互いを知ることが、共助の第一歩と考えて作られた。


 地図を作るまでのきっかけには、森重夫さんを始め、市内の認知症の人が相次いで行方不明になり、亡くなったことがある。「なんとかしなければ」。重夫さんの妻の糸子さんから相談を受けていた医師の野々下靖子さん(85)が住民たちと2015年、市民団体「西山コミュニティ研究会みまもるONE」を立ち上げ、現在は地図作りに力を入れている。
 高台西は新興住宅街。住民たちはお互いにあまり干渉せず暮らしてきた。理事の上岸敏則さん(69)の父親も認知症で、一人で外出を繰り返した。「地域に協力してもらえたら」とは思ったが、隣人と話したこともなかった。「地域がつながっていなければ、何もできない」。マップ作りを通じて「高台西犬猫クラブ」も誕生した。「『共助』は長い時間をかけてできあがるもの」と言う上岸さんも、いまは手応えを感じている。

高台西犬猫クラブが提案した、校区防災訓練でのペット同行避難訓練(2019年10月27日、長岡京市下海印寺・長岡第五小学校)


 野々下さんは長年開いてきた同市高台の診療所を80歳を機に閉め、同所で「認知症カフェけやきの家」を続けている。利用者も運営ボランティアも診療所の元患者が中心。月に2回、認知症の人が出向いて体操や歌などを楽しむだけでなく、何の分け隔てもなく、同じ住民として結びつく場にもなっている。

認知症カフェけやきの家の利用者や運営ボランティア。前列左端が野々下さん(2019年10月16日、長岡京市高台)


 新興住宅街で住民がつながり始めた。つながる場が増え始めた。「つながりがあったら声を掛けられる。『ちょっとお茶でも』『私も一緒に歩くわ』となれば」と野々下さん。「あっちこっちで手をつなぐ。楽しいやんか。つらい面のみ見ないで、楽しいこと見つけよう」とからりと笑う。

屋外から入ってきた利用者の手を温めるボランティア(2019年10月16日、認知症カフェけやきの家)