植樹した桜の手入れをするメンバー (京都府向日市)

植樹した桜の手入れをするメンバー (京都府向日市)

 京都府向日市の向日丘陵に広がる「桜の園」一帯で、16年間行われてきた桜の植樹が完了した。水上勉の小説「桜守」ゆかりの地の復活を目指して、雑木地になっていた一帯を住民が長年整備してきた。全域に広げることができたため、今後は1年中花を楽しめる空間として整備を続ける。

 桜の園は、向日神社脇から京都市西京区大原野へ続く800メートルの区間。「桜守」のモデルで、桜研究家の笹部新太郎氏(1887~1978年)が手掛けた桜の苗床がその一部にあった。当時、全国から名木の種子が集められ、各地へ苗が運ばれたという。「桜苗圃(びょうほ)」と呼ばれた苗床は、名神高速道路建設に伴う土砂採取のために1960年代に取り壊された。
 市民有志は、復活を目指して、2003年に「鎮守の森の会」を結成し、一帯を「桜の園」として、地元住民と活動を進めた。残っていた山桜の姿が見えなくなるほど、生い茂っていた雑木や下草を、所有者である府の許可を得て伐採。笹部氏が願った日本古来の桜「権現平桜」などの植樹や案内板の設置に取り組んできた。
 12年には「桜の園まちづくり協議会」を設立し、その活動を継続した。今月も植樹を行い、約20種計290本が全域に広がったため、桜の植樹を終える。今後はアジサイやフヨウなどを植樹し、季節を問わずに花が広がる空間にしていくという。
 最近では、開花の時期を迎えると、散策や写真撮影など桜を楽しむ姿が相次ぐという。協議会は「活動当初は伐採への反対もあったが、手入れをして守るということへの理解を広げることができた。より多くの人と一緒に、桜の園の自然を後世に伝える活動を進めていきたい」としている。