西山さんの無罪判決を喜ぶ支援者ら(大津地裁前)

西山さんの無罪判決を喜ぶ支援者ら(大津地裁前)

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、男性患者の人工呼吸器を外して死亡させたとして殺人罪で懲役12年が確定し、服役した元看護助手西山美香さん(40)の裁判をやり直す再審の判決公判が31日、大津地裁で開かれ、大西直樹裁判長は無罪を言い渡した。逮捕から約16年ぶりに西山さんの名誉が回復された。

 男性患者の死因について、確定判決では「酸素途絶による急性心停止」としていたが、大西裁判長は「他の死因が考えられ、事件性はなく犯罪の証明がない」とし、「西山さんの自白調書を証拠採用しない」とした。また当初の医学鑑定について「人工呼吸器のチューブが外れたという真偽が疑わしい事実を前提としている」と信用性を否定。不整脈やたんの詰まりで死亡した具体性があると指摘した。
 
 西山さんに対する滋賀県警の取り調べについて、西山さんの迎合しやすいという障害特性を知りながら強い支配力を独占し、殺害の自白を維持しようとした。公判が始まっても西山さんの気持ちをコントロールしようとしていたことが裏付けられる。捜査機関側が描いたストーリーにそう自白をさせていたことが強く推認される。本来、取り調べに立ち会うべき女性警察官を室外に出し、一対一で取り調べしていた。長時間の取り調べを行い、弁護士と西山さんの信頼を損なう発言を繰り返した。西山さんは度々否認する発言をしていたにも関わらず調書にしなかった。

 大西裁判長は「西山さんはこれまで裁判を通して支えてくれる人に出会いました。これからは自分を大切に生きて下さい。きょうがその第一歩となることを願っています」と締めくくった。閉廷後、西山さんは涙をぬぐい、裁判長にむかって「ありがとう」と話した。