昨年の葵祭の行列(2019年5月15日、京都市北区)

昨年の葵祭の行列(2019年5月15日、京都市北区)

 京都三大祭りの一つの葵祭について、葵祭行列保存会と葵祭行列協賛会は31日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、5月15日の行列行事「路頭の儀」を中止すると発表した。平安王朝を再現した優雅な行列が都大路を進む様子は祭りのハイライトとして知られるが、沿道に多くの人が詰めかけることで感染拡大の恐れが高まると判断した。天皇の使い「勅使」が訪れて下鴨神社と上賀茂神社で行う神事「社頭の儀」は神社関係者のみで行う。

 葵祭は下鴨、上賀茂両神社の例祭で「源氏物語」にも登場する。勅使を迎えて15日に行われる路頭の儀は、祭りのヒロイン「斎王代」など約500人の行列が京都御苑から下鴨、上賀茂両神社へ進む。
 今年の葵祭の催行については、3月下旬から関係者が協議を重ねてきた。沿道に多くの観覧者が殺到するだけでなく、ボランティアで行列に参加予定だった人からも感染拡大を懸念する声が聞かれていたことから、中止を決めた。秋に実施できないかなどの検討も行われたが、観光シーズンと重なるうえに神社でも多くの行事が予定されていることから日程調整が難しく、断念した。
 路頭の儀は、1995年に雨天のため中止されたことはあったが、事前に中止が決まることは異例という。
 斎王代は、両社に仕えた内親王「斎王」にならって56年に創設され、京都にゆかりのある女性から選ばれるが、今年は未定だった。路頭の儀に先だって行われる身を清める儀式「御禊(みそぎ)の儀」も中止となる。
 京都市観光協会は、京都御苑と下鴨神社参道の有料観覧席(約1万席)を4月上旬から販売予定だったが取りやめる。同協会は「関係者が苦渋の決断をされた。新型コロナの感染を終息させ、観覧席の販売を来年度には再開させたい」としている。