ほしの・あきえ 1976年生まれ。2000年文部科学省入省。在エジプト日本大使館一等書記官などを経て20年3月末まで文化庁地域文化創生本部(京都市)勤務。共著に「古墳と現代社会」。

 2019年12月12~13日、国立京都国際会館で開催された「観光と文化に関する国際会議」(国連世界観光機関及び国連教育科学文化機関主催)では、「将来世代への投資~観光×文化×SDGs~」を全体テーマに、観光と文化の持続可能なあり方についての議論があった。

 国連が採択したSDGsは、持続可能な社会実現に向けて、国際社会が2030年までに目指すべき目標だ。17の目標と169のターゲットから構成されている。

 このうち「目標11」のもとに「世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する」が、ターゲットとして置かれている。文化遺産が持続可能な社会の実現に極めて重要な要素であることを、グローバルレベルで明文化したものと言えるだろう。

 先の会議には、国内外から1500人を超える政府関係者、有識者、観光業界、研究者らが参加した。成果文書として「京都宣言」がまとめられ、「京都」を改めて国際的な文化観光都市として印象付けるものとなった。

 「持続可能な開発」の考え方が示されて40年以上がたち、一般社会にもかなり浸透してきたと言える。もともと、環境保全と経済発展とのバランスの重要性に注目したもので、その後国際的な議論を経て概念として確立され、今では人類と地球の未来を考えるときの根本理念として機能している。

 この考え方を観光に当てはめたのが「持続可能な観光」であり、近年の外国人観光客の増加などを背景に目にすることが多くなった。一方で文化、特に観光とかかわりの深い文化遺産にとっての「持続可能な」あり方について、議論がもっと盛り上がってもいいのではないかと常々感じている。

 文化遺産は、先人たちから現代に生きる私たちに示された生活の証しだ。また、営みの痕跡でもあり、将来世代にとっての指針にもなるものである。こうした文化遺産の保全も「持続可能」、すなわち、環境・経済・社会の各側面からバランスの取れた手法でなされる必要がある。

 文化遺産を保全することで環境の側面からは、緑地保護や省エネルギーなど環境保全につながり、経済的側面からは、雇用創出や産業につながり、社会的側面からは、地域のコミュニティーの市民の誇りとなる。

 京都での観光と文化の国際会議でも、SDGsが主要トピックの一つであった。観光との関係だけではない、「持続可能な」文化遺産そのものの保全について、今後も引き続き追求してみたいと考えている。(外務省国内広報室長)