百花繚乱の華やかさ

 椿(つばき)の花期は秋から春まで続く。冬、色彩の消えた野山で濃い緑の葉に包まれて咲く赤や白、ピンクの花は、人の心を明るくしてくれる。

 堂本印象美術館(京都市北区)の特別企画展「椿、咲き誇る―椿を描いた名品たち」は、あいおいニッセイ同和損保コレクションから、椿がテーマの57点を紹介する。日本画と洋画のほか、尾形光琳や乾山の工芸作品も並び、近世から現代まで百花繚乱(りょうらん)の華やかさだ。

尾形光琳 椿図蒔絵硯箱 18世紀
尾形乾山 色絵椿文輪花向付 18世紀

 椿は万葉集の時代から日本人になじみがあり、室町期には茶道や華道で重宝された。雪中でも鮮やかな花を咲かせ、また1輪でも凜(りん)としたたたずまいを見せるところが愛されたのだろう。江戸期には品種改良も盛んに行われた。

 大きく、色鮮やかな花は表情も多様だ。奥村土牛の紅椿はあでやかな気品があり、村上華岳や橋本花の絵は生命力にあふれる。岸田劉生や鳥海青児の描いた椿には、忘れていた何かを思い出させるような存在感が漂う。

奥村土牛 紅椿 1955年ごろ
村上華岳 椿花図 1924年ごろ
橋本花 椿林 1957年
岸田劉生 籠椿 1924年
鳥海青児 椿 1970年ごろ

 つややかな緑の葉も特徴だ。椿は花だけでなく葉と共に描かれ、そこに作家の個性が出る。森のように茂らせたり、軽やかに花を引き立てたり。牧進のように、スズメをアクセントに置いた作品も動きがあって楽しい。

 白椿が香気を放つ堂本印象の館蔵作品なども合わせ、計68点を通期展示する。お気に入りの1輪を探しに訪れたい。

牧進 雪色 制作年不祥
香月泰男 白椿 1971年

 掲載の作品は全て、あいおいニッセイ同和損害保険蔵


※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当初の予定が変更になりました。詳細は美術館に問い合わせてください。

【会期】5月17日(日)までの予定。4月4~13日と月曜休館(5月4日は開館)
【開館時間】午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
【主催】京都府、府立堂本印象美術館、京都新聞
【特別協力】あいおいニッセイ同和損害保険
【入場料】一般510円(400円)、高大生400円(320円)、小中生200円(160円)※かっこ内は20人以上の団体。65歳以上の人(要証明)、障害者手帳提示の人と付き添い1人までは無料
【講演会】「コレクションの由来、背景について」 5月3日午後2~3時。講師はあいおいニッセイ同和損保広報部の反町光太郎さん。聞き手は山田由希代・堂本印象美術館主任学芸員。無料。入館券または65歳以上の証明が必要。会場は美術館東隣の学校法人立命館旧堂本印象邸。30人。当日午後1時から美術館ロビーで整理券を配布
【ギャラリートーク】4月19日、5月9日いずれも午後2時、2階展示室集合。30分程度。
【問い合わせ】府立堂本印象美術館075(463)0007