再審判決後、捜査を厳しく批判する井戸弁護団長(右)と西山さん(中央)=2020年3月31日、大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館

再審判決後、捜査を厳しく批判する井戸弁護団長(右)と西山さん(中央)=2020年3月31日、大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館

 「大変なモノが出てきた」。2019年11月初旬、西山美香さん(40)の無罪を求め、再審公判の準備を進めていた弁護団に衝撃が走った。大津地検から開示された新たな証拠を精査していた時だ。見つかったのは男性患者の死亡が事故だった可能性に言及した滋賀県警の捜査報告書。「全くの想定外。一審段階で判明していれば、判決に大きく影響していた」と井戸謙一弁護団長は憤る。

 西山さんはわざと人工呼吸器のチューブを外して患者を殺したとして、05年に殺人罪で懲役12年の判決を言い渡された。確定判決は、患者の死因について、解剖医の鑑定を基に「チューブ外れで酸素が途絶えたことによる急性心停止」と断定していた。

 しかし、新たに見つかった捜査報告書には「チューブのたん詰まりにより、酸素供給低下状態で心臓停止したことも十分考えられる」と医師の所見が書かれていた。他殺か事故かを断定できないことを意味していた。報告書の作成日は、04年3月2日。西山さんが逮捕される4カ月も前だ。

 所見を書いたのは死因を「急性心停止」と鑑定した解剖医と同じ人物。捜査報告書の作成者は、西山さんが好意を抱いた取り調べ担当の男性刑事だった。再審に詳しい鴨志田祐美弁護士は「爆弾のような証拠。しかも、西山さんを有罪に追い込んだ刑事が書いているなんて怒りを禁じえない」とあきれかえる。

 なぜ、重大証拠が今更見つかったのか。