地元にある先祖の石碑に手を合わせる横山株の人たち(京都府福知山市堀・円浄寺)

地元にある先祖の石碑に手を合わせる横山株の人たち(京都府福知山市堀・円浄寺)

明智光秀公肖像画(本徳寺所蔵)

明智光秀公肖像画(本徳寺所蔵)

 明智光秀がまちの礎を築いた京都府福知山市の歴史の陰で、戦国時代に領地を奪われた豪族の末裔(まつえい)たちが、現在も市内で暮らしながら先祖供養を続けている。400年の時を経て「もう恨みははない」と言うが、光秀を祭る御霊神社(同市中ノ)への参拝は一族ではご法度。今年の年末も子孫が集まり、絆を確かめ合った。

 福知山市堀の本堀地区で暮らす「横山」姓の6世帯が「横山株」を組織し、近くの円浄寺にある先祖の石碑の清掃や献花を輪番で続けている。先祖は中世に福知山を拠点にした豪族の横山氏で、福知山城の前身とされる「横山城」を築いた。城はその後、光秀による丹波平定で、明智家の居城となった。

 横山一族が城を奪われた経緯は、光秀に攻め滅ぼされたとの説や、それ以前に丹波国で勢力を誇った赤井氏によって制圧されたとの見方もあり、真相は定かではない。しかし、横山株では現代でも、光秀を“敵”とする言い伝えが残る。

 横山富二雄さん(75)=同市堀=は「御霊神社には参るなと、常々父親から言われた」と話し、近所の横山宏章さん(76)も「子どもの頃、祭りの出店には行かせてもらったが、お参りをしたことはない」と語る。

 横山株では毎年12月に各家の世帯主が福知山に集まり、先祖を供養する行事がある。今年も1日に、京都市や京都府宇治市からの子孫も含め6人が参集。夕方から正装に身を包んで石碑に線香を上げた後、宴席を共にしながら互いの近況や無事を確認し合った。

 折しも、NHK大河ドラマの主人公に光秀が決まり、喜びに沸く福知山。富二雄さんは「光秀に直接の恨みはないので地域が盛り上がるのはうれしい。一方で年を取るにつれ、永代の絆の重みも感じるようになった。一族の歴史として、教えは息子の代にも伝えていきたい」としみじみと話した。

 2020年のNHK大河ドラマは、戦国武将の明智光秀を主人公とする「麒麟(きりん)がくる」。NHKが4月19日に発表。光秀ゆかりの京都府北部では喜びに沸き、ドラマを契機とした町おこしや観光振興への期待が高まっている。