トレイルライドの安全講習で、MTBに乗って山道を走る参加者(京都市北区)

トレイルライドの安全講習で、MTBに乗って山道を走る参加者(京都市北区)

 マウンテンバイク(MTB)で山道を走るレジャー「トレイルライド」の人気が高まる中、登山者との接触や転倒事故が相次いでいる。見通しの悪い場所での加速や無理な追い越しが原因とみられ、京都市左京区では昨年末、MTB利用者が死亡する事故が起きた。愛好家団体や専門店が安全講習を催したり、自主ルールを策定したりするなど、事故防止に向けた動きも出てきた。

 京都市左京区一乗寺の曼殊院近くにある登山口を入り、東に約200メートル進んだ先。樹木が1~2メートル間隔で立ち並び、地面には木の根がむき出しになっている。昨年12月、事故はこの場所で起きた。自営業の男性(46)がMTBで樹木の間を駆け抜け、高さ約10メートルの谷の斜面を走行した直後に転倒して死亡した。京都府警下鴨署によると、事故原因は不明だが、きつい勾配でスピードが出過ぎ、ハンドル操作を誤った可能性があるという。
 MTBは山道走行に適した米国発の自転車で、日本では1980年代以降に利用が始まった。当初は競技色が強かったが、アウトドアブームの影響もあって愛好家が増え、国内保有台数は約400万台(2018年12月末時点)に上る。
 近年は、山道を走行する様子が動画投稿サイトで発信されるなど、トレイルライドへの関心が一層高まりを見せる一方、山中での事故も続出。東京都八王子市の高尾山(東京都)では18年8月、山頂付近への乗り入れが禁じられる事態となっている。京都市では昨年7月、東山トレイルを走行していた40代男性が山道で転倒し、重傷を負う事故も起きた。
 こうした中、専門店などはMTBを安全に楽しく利用してもらうための対策に乗り出している。京都市北区の販売店「トムスクラフト」では20年前の開店当初から月1回のペースで、安全講習を開催。1月に同区の京見峠で実施した講習には小学生から中高年までの25人が参加した。北島寛大店長(31)は林道をさっそうと駆け下りる参加者らに「怖さを感じる前にブレーキを掛けて」「登山者とすれ違う時は必ず自転車を降りよう」と声を掛けた。
 この日は、露出する木の根にひっかかり、転倒する参加者もいた。利用歴半年の大学教授の男性(46)=上京区=は「自然に触れ合うことができて気持ち良い半面、1人で通るには怖い場所もあった」と話した。北島店長は「無理な加速や急ブレーキ、強引な追い越しが事故につながる主要因だ」と説明する。
 愛好家は事故防止への取り組みを強化する。販売店「ラ・ジスタ」(京都府木津川市)の宮城義一店長は10年以上前から月1回、安全講習会を実施。京都府和束町のトレイルライド専用コースなどで、初心者向けに基本動作を指導している。他県には、「歩行者優先」や「狭い道での追い抜き禁止」など30項目の自主ルールをインターネットに公開している団体もある。宮城支部長は「『たかが自転車』と安易に考えず、山道を走る危険性を理解してほしい。運転マナーを守るのはもちろん、登山者の安全にも十分に配慮することで事故は防げる」と呼び掛けている。