学生たちの間で感染が広がった京都産業大(3日午後0時54分、京都市北区)

学生たちの間で感染が広がった京都産業大(3日午後0時54分、京都市北区)

 京都産業大(京都市北区)で発生した感染者集団(クラスター)からの感染が府内外に広がっている。症状が出にくい若者の行動が招いた事態。京産大は学生らに海外旅行や懇親会への注意を呼び掛けていたが、防げなかった。一方で学生らが旅行して帰国した3月前半は政府の取り組みも十分といえず、国内の警戒感が緩んでいた時期でもあった。

 京都府と市によると、京産大生に端を発するクラスターは65人(4月3日現在)。うち府内在住者は43人で、府内感染者全体の約4割を占める。
 始まりは、学生4人が3月2~13日、英国やフランスなど欧州5カ国の卒業旅行から帰国したことだった。京都新聞社の双方向報道「読者に応える」には、「この時期に軽率だ」「自粛すべきだった」との批判が寄せられている。
 ただ、外務省ホームページにある新型コロナウイルス感染症に関する入国制限措置などでは、フランスが同17日、EUや英国以外の出身者の入国禁止を発表したが、学生が出国した時点で旅行先には措置が出ていなかった。同29日、学生の感染者を市役所で発表した門川大作市長は「外務省などのアナウンスに従っての旅行は批判できない」と学生らを守った。
 学生4人は3月14日に帰国し、このうち後に感染が判明した3人が19、21、22日、特段の症状もなかったため、二つの卒業祝賀会とサークル懇親会に参加し、同席した別の学生ら26人が2次感染した。さらに21日の卒業祝賀会に参加し感染していた学生が、23日にあった京都府井手町での交流会に参加したことで、町職員を含む10人以上の3次感染を生み、その家族にまで感染が及ぶ結果となっている。
 京産大も、学生の感染防止には取り組んでいた。中国での感染拡大を受けて1月30日にはホームページなどを通じて中国への渡航中止を求めたほか、他国への渡航についても注意を喚起した。2月3日には緊急対策本部を設置し、卒業式・入学式の中止を決定。今回問題となったゼミの卒業祝賀会やサークルの懇親会なども、教員を通じて自粛を呼び掛けていた。
 そこに限界はあったが、「他の大学と比べ、京産大の取り組みが劣っていたということはない。3月の3連休前あたりからは、国内の警戒感が一時、緩んでしまった面もある」(府幹部)。
 京産大は「多方面にご迷惑をかけたことをおわびするとともに、罹(り)患された方の一日も早い治癒を祈っている。京都市をはじめ各自治体と連携し、感染拡大の防止に全力で取り組む」としている。
 感染が波及した井手町は、2013年に京産大と包括協定を結んでいる。人口減少に悩む町を活性化に導く「井手応援隊」として学生が貢献してきた。地元産の竹で作った灯籠で、町を流れる玉川を照らすイルミネーションイベント「井手!みねーしょん」は14年に始まり、今や町の名物行事に。17年には町内の古民家を応援隊の活動拠点「むすび家ide」に改修し、子どもたちに勉強を教える「寺子屋」として活用。19年からは町名物を味わえる「むすび家カフェ」としての営業も始めた。
 学生らが給仕し、住民らとの交流を深めており、むすび家カフェ関係者は「『早く復活してね。あの子らの笑顔見に行くわ』と声をかけてくれる町民もいる。(この事態を)乗り越えて、今後も学生と頑張りたい」と話していた。
 クラスターを早期に封じ込め、今回の事態を教訓に生かすことが行政や大学に求められる。