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 空まで続く茶畑の表情は、視点を変えると一変する。地上からは急斜面が、上空からは整然と並ぶ緑の列が際立つ。山あいに作り出された人工美は農家の苦労の歴史でもある。


 「茶源郷」として知られる京都府和束町は、宇治茶産地の一つ。農家が山を切り開いた茶畑が点在する風景は、観光資源にもなっている。文化庁が認定する日本遺産にも含まれる。

 

 収穫期を迎えた同町石寺でドローンを飛ばした。茶農家の男性(67)は「子どものころ茶畑は松林でした。木を切って、くわで根を起こす開墾を手伝ったものです」と振り返る。観光客が景色を楽しむ様子が「うれしくてね…」と今でも整備に余念がない。


 同町はかつて高級煎茶を盛んにつくっていた。現在はお菓子用など「食べるお茶」の需要が多い。抹茶原料の碾茶(てんちゃ)としての出荷が半分以上になった。美しい景観は茶農家の汗によって生まれ、そして工夫で守られ続けている。