西山さん(右下)の再審判決には、冤罪被害者の青木さん(左下)らも駆けつけた。再審の在り方を変えるため、被害者が積極的に動き出している(2020年3月31日、大津市京町3丁目・大津地裁)

西山さん(右下)の再審判決には、冤罪被害者の青木さん(左下)らも駆けつけた。再審の在り方を変えるため、被害者が積極的に動き出している(2020年3月31日、大津市京町3丁目・大津地裁)

■「奪われるのは、やはり時間」つながる冤罪被害者たち

 「冤罪(えんざい)で奪われるのは、やはり時間」。大阪市東住吉区の民家火災で1995年、女児が死亡した「東住吉事件」で、放火して小学6年の長女を殺害したとして無期懲役判決を受け、服役後に再審で無罪が確定した青木惠子さん(56)は語る。

 逮捕当時8歳だった息子が、無罪確定後に出所した時は29歳。毎日どうしているか心配で、会いたくてたまらなかった。でも、今は誰より緊張する相手になった。「もう大人になって、他人みたい。私を必要としてくれる時期に一緒に過ごしたかった。息子と離された時間は、お金ではどうにもならない」

 青木さんと西山さんは、和歌山刑務所で同室になったことがあった。自暴自棄になる西山さんを、青木さんは「エネルギーは裁判に使おう」と励まし、作業を教えてくれた。「獄友(ごくとも)」と呼び合う2人は、今も誕生日にプレゼントを贈り合う仲だ。

 冤罪という同じ経験をした者だからこそ、苦しみや悔しさが理解できる。西山さんは「他の被害者を支えたい」と、獄中で冤罪を訴える知人に本を差し入れ、他の再審事件の応援に出向く日々だ。再審判決前日の3月30日も、第4次再審請求を申し立てる「大崎事件」の原口アヤ子さん(92)の応援で、鹿児島地裁前でマイクを握った。

 今、冤罪被害者を中心に再審の在り方を考える大きな動きが生まれている。