芸術家の滞在場所と作業スペースを併設した宿泊施設に生まれ変わる京都青果合同の「朱雀寮」(京都市下京区)

芸術家の滞在場所と作業スペースを併設した宿泊施設に生まれ変わる京都青果合同の「朱雀寮」(京都市下京区)

 京都市中京区の不動産企画会社「めい」が、京都市中央卸売市場(下京区)近くにある青果卸業の社員寮を改装し、芸術家の滞在場所と作業スペースを併設した宿泊施設「KAGAN HOTEL」の開業を計画している。現代アートの作家が暮らしながら創作に取り組み、一般の宿泊客に作品を発表する。同社は「作家の職住の機能に加え、宿泊客との交流もできる全国でも珍しいホテルになる」と意気込む。

 改装するのは、京都青果合同の「朱雀寮」。地上5階地下1階の鉄筋コンクリート造で敷地面積は約390平方メートル。めいは子会社を通じて青果合同と寮の賃貸借契約を結んだ。すでに改装工事を始めており、今秋の開業を目指す。

 めいはこれまで、若手芸術家らを対象にしたシェアハウス運営などを行ってきた。共同代表の扇沢友樹さん(30)と日下部淑世さん(31)は、住居のほかにも作業場や作品展示場の確保などで多額の活動費が掛かる現代アートの若手作家を支援しようと、宿泊施設の構想を3年ほど前から温め、空きビルになっていた朱雀寮に注目した。

 ホテルの名称は、人の行き来が盛んで昔は市場があった「河岸」にちなんだ。3、4階は作家が長期間住めるように個室20室を設ける。2階は相部屋で2段ベッドを連ねる短期滞在型のドミトリーに、1階と地下1階はギャラリーやアトリエにそれぞれ改修する。5階は一般用の客室を整備する。

 一般客が芸術作品を鑑賞・購入できるようにする。入居した作家たちにホテルの接客や清掃の仕事を任せて給料を支払うなど、金銭面でも制作活動を支える。

 扇沢さんと日下部さんは「芸術をなりわいにするのは覚悟がいる。作家たちが作品制作に集中できる場所を提供し、京都でキャリアを積んで優れた作家になってほしい」と話す。

 改装費の一部は、ネットを使ったクラウドファンディングで募る。入居者の募集概要は同ホテルのホームページで公表する。