自分が考えていることは、きっと他の人も同じように考えている。そう思い込む傾向は、社会心理学で「合意性の過大視」と呼ぶそうだ▼だから自分に必要な商品が不足するという情報や店頭の行列に接して不安になれば、皆が同じ気持ちだと思い、買いだめに走る。問題はその人にとっては合理的な行動が品薄の悪循環をさらに加速させていくことにある▼「中国からの輸入が減少する」などの誤情報がインターネットの会員制交流サイト(SNS)で流れ、トイレットペーパーなどの買いだめ騒ぎが起きたのは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く2月下旬だった。影響は今も続いている▼安倍晋三首相がきのう緊急事態宣言の発令に踏み切った。対象地域となる東京や大阪の知事は買いだめを厳に慎むよう呼び掛けているが、偽情報が瞬時に拡散する時代である。同じことが起きないとは限らない▼うわさは、当事者にとって重要で、かつ情報内容が曖昧なほど広がりやすいという定説がある。ならば曖昧さを限りなくゼロにし、疑心暗鬼を減らせば「パニック買い」は起きにくいということになる▼国や自治体、メディアは信頼できる確かな情報を伝え、市民は情報への冷静な目を養う必要がある。災害時にはデマも流れやすい。社会の耐性を磨かねば。