三味線の練習に打ち込む堀さん(京丹波町本庄)

三味線の練習に打ち込む堀さん(京丹波町本庄)

 「ベベンベン…」。京都府京丹波町本庄のJA京都和知支店の地下1階にある和知人形浄瑠璃の練習場「伝統芸能浄鼓館」で、20代の若手が三味線の音を小気味よく響かせる。

 同町出身の堀望空(みく)さん(22)。祖父が和知人形浄瑠璃の人形の繰り手をしていた影響で、幼い頃に郷土の伝統芸能に触れた。和知小で語り手、和知中では繰り手を担った。「語りや三味線、人形が三つ合わさって臨場感が生まれるし、和知に古くから伝わる物語が分かって楽しい」と醍醐味(だいごみ)を語る。
 園部高を卒業後、パティシエを目指そうと神戸市の専門学校に。その後、大阪府泉佐野市のホテルに就職したが、今春、地元に戻った。「京丹波を離れ、食や自然の風景、文化の良さに改めて気付いた」と感じている。経験を生かして、地元で町産の食材を生かしたスイーツ店を開こうと模索中だ。
 浄瑠璃で担当するのは、念願かなって三味線。ベテランの小林勝久さん(76)と向かい合って一音一音確認してもらいながら指導を受ける。「のみ込みが早い。秋にはデビューできるんじゃないでしょうか」と小林さんはエールを送る。
 正座で額に汗を浮かべながら、弦を右手のばちではじく。「足はしびれるし、楽器に触れたことがないから難しい。でも、楽しい」と笑顔で語る。舞台に立たせてもらうまでに半年から1年かかるため、家に帰っても自主練習を欠かさない。
 また、動画配信サイト「ユーチューブ」で、和知人形浄瑠璃の舞台裏や京丹波の魅力を伝える映像の投稿を始める予定だという。
 「ただ、三味線を弾くだけでなく、町内外の人が親しみを持って和知人形浄瑠璃に触れてもらえるよう、いろいろなことに取り組みたい。後継者が不足している現状を少しでも変えることができたら」と、今日も稽古に励む。