そんなアホな、と笑ってすまない上方落語「ぜんざい公社」の一席。男が1杯のぜんざいを注文すると、氏名・家族構成を書類に記録され、健康診断書や火気使用許可書が必要と言われる▼窓口をたらい回しにされ、ようやくぜんざいにありつけると思ったら、指示された食堂はバス停三つ先の別館に。「もうどこへでも行きますよ」。録音で聴いた故二代目桂小南さんの話から、お役所仕事への庶民の皮肉まじりの厳しい目が浮かんでくる▼さて、新型コロナウイルス感染拡大で収入が減った世帯に、30万円を現金給付することになった。政府の緊急経済対策の一つだが、手続きするところは、そう、お役所の窓口だ▼心配することはない、迅速に簡易に、と政府が約束しているではないか。自己申告制にして、減収を証明する書類があれば原則支給を認め、スピードアップを図るそうだ。それでも、減収をどう証明すればと頭を悩ませる人が必ず出てくる▼現金給付を受ける条件も自己判断は難しそう。雇用を守るため、事業主への雇用調整助成金も拡充されたが、手続きが煩雑で評判が悪いときている。かつてない対策と政府が胸を張っても、これでは必要な人のもとに届かない▼やっとありついたぜんざい、「ちっとも甘くない」というのがオチでは困る。