感染は本当に終息したのか、詳しい事情を知りたい。

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、緊急事態宣言の出された日本と入れ替わるかのように、中国湖北省武漢市で実施されていた事実上の都市封鎖(ロックダウン)が解除された。

 武漢は、世界で初めて感染拡大が確認された都市である。

 感染者の急増で一時は医療崩壊に陥り、中国政府は臨時病院を10カ所以上設け、数万人規模の医療従事者を送り込んだ。

 発表によると、発症した患者は5万人を上回った。死者は2500人を超え、中国本土の過半を占めたとされる。

 市当局は1月23日以降、市外に向かう鉄道や航空便をストップさせるとともに、市内の公共交通も止めて、住民の移動を厳しく制限した。

 約2カ月半たって政府は、新たな感染者の判明しない日が増えたとアピールしている。

 だが、これほど新型コロナが猛威を振るったところに、感染拡大前の日常が戻ってきたとは、すぐには信じ難い。

 武漢の専門家の中には、推計で市内に1万~2万人の無症状感染者がいる、と指摘する人がいるという。

 封鎖解除によって交通機関が営業を再開し、市民は他都市に移動できるようになった。

 経済活動の回復を優先して人の往来を自由にした結果、感染者が再びウイルスを広める懸念はないのか。今後の動向を、世界が注視しているはずだ。

 都市封鎖が、やむを得ない措置だったとしても、市民生活がどのような状態になったのか、封鎖をしない日本としても、知っておきたい。

 流行の初期には、まともな医療が提供されず、放置された家族が亡くなった、との声が上がっている。人権侵害がなかったか、検証が必要とされよう。

 死亡した人のウイルス検査結果が、家族に開示されない事例もあったとされる。このため、新型コロナの感染による実際の死者数は、当局の発表より多いとする見方が、市民の間では根強い。

 封鎖解除を受けて米国務省は、武漢のウイルス研究機関の持つ情報を提供するよう要請した。新型コロナの魔手から、世界の人々の命を救うのに役立つからだ。

 いずれにせよ、正確な情報を公開し、共有することを、中国政府には求めたい。