ロシアのプーチン大統領が、2024年に切れる任期をさらに延ばし、最長で83歳になる36年まで続投する可能性が出てきた。

 それらの条項を含む憲法改正案は既に上下両院で採択され、憲法裁判所も合憲判断をした。

 4月22日に予定されていた国民投票は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期されたが、過半数の承認で発効する見通しだ。

 プーチン氏は00年に大統領に初就任してから実質20年間、ロシアの最高権力者の地位にあり、スターリンに次ぐ長さである。

 続投については「国民がどう判断するかだ」と含みを残しているが、権力に固執し自制心を見失っては政治の安定は望めまい。

 改憲はプーチン氏が主導。当初は大統領任期を現在の「連続2期まで」から「通算2期」に制限すべきだとし、通算4期目である自らの続投を封じる内容だった。

 首相や閣僚の任命など大統領権限の抑制も盛り込まれていたため、新たに憲法に位置づけた「国家評議会」の議長などに転じ、「院政」を敷くとみられていた。

 ところが3月の下院審議で、世界初の女性宇宙飛行士として有名なテレシコワ議員が「現職を含む大統領経験者はこれまでの任期数を問わずに大統領選に出馬できるようにすべきだ」と提案し、一転して続投が可能になった。

 政権中枢が筋書きを描いたとみられている。

 プーチン氏にすれば、多選の道が確保できれば、任期切れが迫る自身の「レームダック(死に体)化」を防ぎ、「プーチン後」にも影響力を維持できる。そんな計算もうかがえる。

 プーチン氏はソ連崩壊後の混乱を収拾し、資源輸出で経済を発展させた実績があるとはいえ、政権に批判的な勢力やメディアを締め付ける強権統治への国民の不満は小さくない。

 長期政権疲れもあり、独立系機関の世論調査では、続投を望まない人が40%を占めた。その数字を軽視すれば、足元が揺らがないとは限らない。

 日本との関係では、改憲案に「ロシア領土の割譲禁止」が盛り込まれたのが気がかりだ。北方領土問題をめぐる日本への譲歩や、交渉自体を禁じることを狙っているとみられる。

 プーチン氏の注文で「隣接国との国境確定を除く」との文言が入ったものの、北方領土交渉の妨げになる恐れがある。日本政府は改憲の真意をたださなければならない。