英国でペストが猛威を振るった1665年、ロンドンだけでも3万人以上が亡くなったという。大学が閉鎖されケンブリッジ大の全寮制カレッジで学んでいたニュートンも帰郷せざるを得なくなった▼郷里は東部の寒村。そこではカレッジでの雑務や人間関係から解放され、これまでの着想をじっくりと思索する時間ができた。それが万有引力の発見につながったという。佐藤満彦著「ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿」に詳しい▼今の「コロナ危機」に対しても多くの大学で新学期の授業開始を延期している。小中高校では全国一斉休校の要請を受けてから、休校、再開、再休校と転じた地域もある。子どもたちの戸惑いはいかほどだろう▼ここにきて7都府県に緊急事態宣言が発令され、コロナ対策は新たな段階に入った。外出自粛が求められ、自宅待機の勤め人や学生は多い。普段の働き方や学び方ができず苦労もあるだろう。生活リズムもつかみにくい▼再びニュートンに話を戻すと、万有引力だけでなく微分積分法、光学理論を加えた「三大発見」と呼ばれる偉業は、いずれも郷里に疎開中にその礎を築いた。25歳に満たない頃だ▼コロナ禍が去るまでは萎縮することなく、次の躍進へ向けた準備期間としたい。逆境でこそ見つかる英知もある。