ことし11月の米大統領選は、民主党の中道バイデン前副大統領が共和党のトランプ大統領に挑む構図が固まった。

 4年ぶりの政権奪還を狙う民主党は中道と左派の分裂が深刻だ。共和党支持層の9割を固める現職のトランプ氏に対抗するには結束が急務と言えよう。

 大統領選に向けた民主党の候補者指名争いは、中道候補の一本化によりバイデン氏が左派のサンダース上院議員を大幅にリードする情勢だった。新型コロナウイルスの感染拡大で活動が制限される中、サンダース氏が敗北を認め、撤退した。

 サンダース氏は左派政策の実現を目指し、バイデン氏に協力を約束したが、勝算もなく選挙戦を続け、党内対立を長引かせるのは得策でないと判断したとみられる。コロナ禍で選挙戦は様変わりしており、賢明な判断と言える。

 バイデン氏の強みは、オバマ前政権で副大統領を務めるなど長年の実績に裏付けられた安定感のある政策と品格とされる。

 とはいえ「消去法で選ばれた」との厳しい指摘もある。福祉や教育分野への予算拡充で「中間層の再建」を目指して党内の支持を広げるが、「反トランプ」だけでなく、どんな米国にすべきかをより明確に打ち出すべきだ。

 民主党が「米国第一」を掲げるトランプ氏を倒すには、目指す施策が大きく隔たる中道と左派の融和をいかに図るかが鍵となる。

 バイデン氏には、左派層の支持が不可欠であり、格差是正、気候変動対策、大学無償化など革新政策も採用せざるを得ない。ところが左派に寄り過ぎると、穏健層の支持を失いかねないから難しい。

 一方、トランプ氏の岩盤支持層は熱狂的で、「トランプ党」と化した共和党の結束は固い。トランプ氏は就任以来、「強い米国」を掲げ、排外主義的な主張を繰り返して支持を固めてきた。再選の意欲をあらわにし、あらゆる政策判断は大統領選での勝利につながるかどうかを優先してきたようにも見受けられる。

 だが新型コロナが猛威を振るい、米国での感染者は45万人、死者は1万6千人を超えた。トランプ氏がコロナ対策で場当たり的に方針を二転三転させ、混乱を招いたとの批判もある。就任以来、自らの最大の成果と高値を誇った株価の急落を招き、再選戦略の狂いは覆いようがない。

 米国は世界大恐慌以来とも言われる国難に揺らぐ。この危機を克服する手腕も大統領選の重要な争点となっている。