京都府の西脇隆俊知事が、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の対象地域に府域を加えるよう国に要請すると明らかにした。

 すでに対象となった7都府県に比べても「厳しい状況にある」として、不要不急の外出自粛を府民に求めた。京都市の門川大作市長もナイトクラブやカラオケ店などの利用を控えるよう訴えている。

 日常生活への幅広い制約を求める内容だ。感染をこれ以上拡大させず、医療態勢を持続していくためには、地道な取り組みで地域社会を守っていくしかない。

 京都は対象地域となっている大阪・兵庫との往来が頻繁で、感染者数は、関西では両府県に次ぐ。

 府は「緊急事態と同等」としてすでに独自に会食や外出の自粛要請を打ち出している。京都市は体育館や図書館、公園など約200カ所の公共施設を来月6日まで利用停止する措置に踏み切った。

 強い危機感の表れといえる。

 ただ、私権制限も伴う緊急事態宣言は、感染拡大防止へ最後の手段である。その対象地域に加わることの意味や理由、暮らしへの影響などについて、知事は具体的に語らなければならない。京都での感染がどんな現状にあるのか、科学的根拠を示す必要もある。

 同じく対象地域入りを求めた愛知県の動きに便乗したとみなされれば、府民の理解は得られまい。

 対象地域となれば、住民の「行動変容」を促す効果は期待できよう。同時に府の責任も重くなる。

 府内では再開した学校の多くが再び休校となるが、保育所や学童クラブは開所を認めている。なぜ対応が分かれるのか、より厳密な説明が求められる。

 同市が求めるようなカラオケ店などの利用自粛にも法的根拠が伴うことになる。店側が被った損失をどうするのかも議論になろう。

 緊急事態宣言を規定する特措法は店舗に対して知事が休業を要請・指示できることになっているが、損失補償の規定がない。これでは実効性を高めることは難しい。

 東京都は休業要請に応じた企業や店舗へ独自の協力金を支払う方針を決めたが、金額が少ないとして効果を疑問視する声もある。

 西脇知事は休業要請には慎重姿勢だ。しかし、感染の状況によってはさらに踏み込んだ措置を迫られることもあり得る。その場合に必要な手法や財源の想定はできているのだろうか。

 対象地域に加わるなら、行動の自粛だけでは済むまい。知事も府民も覚悟を持たねばならない。