京都で撮った「姉妹坂」にも登場する疏水沿いの哲学の道で、自作を振り返る大林宣彦監督=京都市左京区、2015年

京都で撮った「姉妹坂」にも登場する疏水沿いの哲学の道で、自作を振り返る大林宣彦監督=京都市左京区、2015年

 坂を効果的に用いた“尾道3部作”で知られる大林宣彦監督は、京都でも坂を生かした映画を撮った。京都で暮らす四姉妹の物語を描いた「姉妹坂」(1985年)。日向(ひむかい)大神宮(京都市山科区日ノ岡)につながる坂道や琵琶湖疏水の流れに、人の出会い、命のつながりといった人生を写した。

 四姉妹を演じたのは、紺野美沙子さん、浅野温子さん、沢口靖子さん、富田靖子さん。公開当時は「現代版の細雪」とも評された。

 姉妹の愛や転機を、桜や祇園祭など四季を背景に描く。大林監督は「尾道は、猫の道と言われるように手描きで引いた線ですが、京都は整った碁盤の目。互いの相手に恋する切ない物語は、碁盤の上だから成立する。それが京都の面白さでした」と語っていた。坂を幾度も上り下りする場面を交え、「人生は坂道。楽して上れない。一歩一歩上がれば、新しい世界がある」との思いを込めた。

 大林監督は、実験映画の草分けだった京都の故高林陽一監督とも親交が深かった。「8ミリで映画を撮り始め、できた友達が高林君。何度も家に泊めてもらった」と懐かしんでいた。

 14年8月には元立誠小(中京区)にあった立誠シネマを訪れ、映画や平和への思いを2時間近く語った。立誠シネマを引き継いだ出町座(上京区)の田中誠一支配人(42)は「ノスタルジックな作風と言われながらも、常に新しさがあった。みんなで遺志を継いでいかなければ」と悼んだ。