高松平藏さん

高松平藏さん

3月中旬、エアランゲン市の森で散歩やジョギングをする市民

3月中旬、エアランゲン市の森で散歩やジョギングをする市民

3月下旬、立ち入りが禁止され閑散とするエアランゲン市内の公園

3月下旬、立ち入りが禁止され閑散とするエアランゲン市内の公園

 新型コロナウイルスの感染が世界へ広がり、現在は欧州で拡大が著しい。ドイツ在住のジャーナリストで京都でも活動していた高松平藏さん(50)に、街や市民の様子をリポートしてもらった。外出制限などで日常生活が困難になる中、ドイツ伝統の地域クラブが存在感を示しているという。背景として、スポーツや文化などのクラブを通じたメンバー同士の連携、「連帯」の精神の下で助け合う市民性を指摘する。

 ドイツは感染者が11万人(9日現在)を超えた。高松さんが住む南部バイエルン州のエアランゲン市も、公共施設、飲食店、公園が閉鎖され、日用品の買い物などのほかは原則外出できないという。
 同国には住民主体の非営利法人「フェライン」という特有の組織が約60万ある。ジャンルは多様で、うちスポーツクラブは約9万。人口11万人のエアランゲン市だけでフェラインは100以上を数え、100年以上の歴史を持つものもある。
 現在、通常の活動は停止しているが、スポーツクラブのメンバーが自発的に地域の高齢者の買い物や犬の散歩を代行する動きが出ているという。「フェラインはドイツではとても社会的な存在。職業や世代を越えたつながりが普段からある」と紹介する。また街にはホームレス向けに食料入りのビニール袋をベンチにつるしておく光景も見られる。
 スポーツが盛んなドイツでも、今許されるのは単独か家族での散歩やジョギング程度。「市街地を取り囲むように配置されている森が『健康インフラ』として機能している。さまざまな世代が適度な距離感で利用できる」
 移民や難民にも寛容とされる国に住みつつ、この非常時に目に見えない形で重みを感じるのが「『連帯』の意識」。「西欧社会で長い年月をかけて確立してきた概念で、個人主義と一体にある。個人が自由に振る舞える安全な社会を取り戻さねばならない時。そのための自宅待機は消極的な連帯、社会的責任とも言える」と捉える。
 日本で注目された東京五輪・パラリンピックの動向について、「もともと(五輪に)関心は薄く、それどころではない」と付け加えた。
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たかまつ・へいぞう 1969年奈良県出身。京都などで経済関係のジャーナリストとして活動し、2002年からドイツに拠点を移す。在住のエアランゲン市を足場に地方都市の発展について取材し、現地で研修プログラム「インターローカルスクール」も主宰する。柔道愛好家。