【資料写真】新型コロナウイルスの感染拡大の余波で、閑散とする夜の祇園(9日午後7時25分、京都市東山区・花見小路通四条下ル)

【資料写真】新型コロナウイルスの感染拡大の余波で、閑散とする夜の祇園(9日午後7時25分、京都市東山区・花見小路通四条下ル)

 新型コロナウイルス流行を受け、営業自粛に入った祇園の飲食店経営者が京都新聞社の取材に応じてくれた。

 「命を守ることは最優先。でも収入がないと私たちも生活できない。皆、悲鳴を上げている」。祇園でスナックを営む女性(39)が苦しい胸の内を語った。
 女性は7年前から祇園のラウンジなどで働き、昨年11月に独立した。開店後数カ月でコロナ禍に見舞われた。3月に入ると団体客が激減。それでも1、2人の客は来てくれたが、3月末以降は客ゼロの日が続き、3日から営業をやめた。
 「人命がかかっており外出自粛要請は当然。店としても客や従業員がうつるのはなんとしてでも避けないと」。祇園で一斉自粛ができないかと考え、先輩ママに相談したりもした。
 歓楽街で懸命に生きる人々の生活は日増しに逼迫(ひっぱく)している。女性は4人の子を育てるシングルマザー。開業時の借金が残るが、収入は途絶えた。今の状況が長引けば家計を維持するのにわずかな蓄えを崩し、さらに借金を重ねるしかない。自分のこと以上に心を砕くのが、苦楽を共にする従業員の生活。感染拡大の影響で昼の勤務先が店を畳む恐れがあるスタッフもいる。
 家で過ごさざるを得ない客に少しでも楽しい時間をと、ビデオ通話を使う営業も検討し始めた。だが、感染終息が見えない中で先の見通しは全く立たない。
 祇園で30年来、バーを経営する男性(54)は「これほどの落ち込みは経験がない」と落胆する。5月上旬までの休業を決めたが、家賃は払い続けなければならない。苦境を案じた家主が減額を申し出てくれた。
 客は祇園で働く人が多い。「もう閉店する」。クラブや料理屋を営む知人たちから諦めの声が漏れ始めた。「来月には再開できると分かっていれば何とか踏ん張れる。でも、さらにひと月、ふた月と休業を余儀なくされるなら持ちこたえられない店が相次ぐかもしれない」