人の姿がまばらになった祇園かいわい(11日午後7時35分、京都市東山区富永町)

人の姿がまばらになった祇園かいわい(11日午後7時35分、京都市東山区富永町)

新型コロナウイルスの感染拡大の余波で、閑散とする夜の祇園(9日午後7時25分、京都市東山区・花見小路通四条下ル)

新型コロナウイルスの感染拡大の余波で、閑散とする夜の祇園(9日午後7時25分、京都市東山区・花見小路通四条下ル)

 新型コロナウイルスの流行は、京都を代表する繁華街・祇園にも深刻な影響をもたらしている。国内外の大勢の観光客が訪れ、「観光公害」の一端をみせていた一帯からは人通りが消え、静寂に包まれている。「豪雨災害が毎日続いているようだ」「ゴーストタウンになった」。先の見えない生活不安に襲われた料理店やスナック、バー、花街の関係者たちは口々に客の激減した現状を嘆き、悲鳴に似た声を上げていた。

 安倍晋三首相は11日の政府の対策本部会合で、繁華街の接客を伴う飲食店の利用を全国で自粛するよう要請。政府は感染者集団「クラスター」の発生を防ぐためとするが、飲食店の苦境は一段と深刻化する。新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が東京都や大阪府、兵庫県などに出され、京都府や京都市が住民に宣言対象地域並みの自粛を求めた4月上旬の夜、祇園町を歩いた。

お客は一日10人未満

 辺りが夜の闇に包まれると、着物姿の芸舞妓や仕事終わりの会社員、送迎の高級車が行き交う―。そんな京都・祇園の普段の光景は新型コロナウイルスの感染拡大で一変し、遠い昔の出来事として忘れ去られたように静まり返っていた。9日夜7時、路地を挟んでお茶屋や老舗料理屋が軒を連ねる祇園のメインストリート・花見小路に人の姿はなかった。
 「昼夜合わせてもお客は一日10人未満。西日本豪雨や大型台風が直撃した日のようだ」。創作料理店の男性オーナー(44)は、マスク越しに窮状を訴える。一日の売り上げは2万円未満で1年前から9割近く激減。緊急事態宣言が大阪府や兵庫県に出た7日以降は来店客がさらに減った。
 アルバイトたちは4月から休みを取らせ、社員4人で店を回す。オーナーが切望するのが、従業員の休業手当などを補助する雇用調整助成金の受給だ。「早く休業したいが、従業員の生活は何としても守らなければ」。オーナーは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
 「今は店を開けている方がリスク。店から感染者が出たらおしまいだ」。早めの店じまいの準備をしていた日本料理店の4代目男性(48)はそう断言し、11日から5月6日までの休業を決めた。