京都犯罪被害者支援センターが発行した犯罪被害者らの手記集「ともしび」

京都犯罪被害者支援センターが発行した犯罪被害者らの手記集「ともしび」

 京都犯罪被害者支援センター(京都市上京区)が犯罪被害者らの手記集「ともしび」を発行した。殺人事件や交通事故で子どもを亡くした母親3人が当時を振り返り、歳月にも癒やされることのない心情を伝えている。担当者は「暮らしは変わっても気持ちは変わらない。遺族の悲しみや奮闘を理解するきっかけにしてほしい」と願う。

 同センターは、犯罪被害者の相談に応じたり、裁判の傍聴に付き添ったりしている。被害者や遺族の「生の声」を通して実情を知ってもらおうと、京都市の委託を受けて2014年度以降、「ともしび」を毎年作製している。
 京都府亀岡市で12年に集団登校中の児童ら10人が死傷した交通事故で、小学2年だった次女の小谷真緒さん=当時(7)=を奪われた母親は「15歳になった真緒に会いたい」との題で寄稿。真緒さんがドクターヘリで搬送された病院に向かう際、緊急車両では連れていってもらえず、気が動転しながら自家用車を2時間半以上運転したことや、真緒さんの最期の壮絶な姿を明かしつつ、生前の笑顔を思い浮かべるように心掛けたいと記す。運転少年に罰則の重い危険運転致死傷罪が適用されなかったことも苦しい。
 「被害者からみれば、人数や内容で量刑が決められる法律を恨みます」(手記集より。以下同)
 大久保ユカさんは09年、大阪府富田林市で、次男で高校1年だった光貴さん=当時(15)=を少年に木槌とバットで撲殺された。その後は食欲や味覚がなくなり、眠れない日が続き、さらに仕事をしている自分は異常かもしれないと悩むように。10年経過しても、光貴さんとの思い出が詰まった近所のスーパーに入るのはつらくて、あえて遠方の店で買い物をしている。
 「何をどれ程我慢しても、どれだけ頑張っても、あの子は帰ってこない。帰ってくる事ができない。会いたくて会いたくて、声が聞きたくて、抱きしめたくてもかなわない」
 「私は、時々、光貴の愛用していた香りに助けを求めあの子をそばに感じようと自分を必死でごまかしています」
 児島早苗さんは00年、奈良県生駒市での交通事故で長男健仁さん=当時(18)=を亡くした。毎年、事故が起きた日が近づくたび息苦しくなる。現在、同県のNPO法人「KENTO」代表として事故防止活動に取り組んでおり、今後も地域や社会、教育現場に働きかけ続けたいと誓う。
 A5判、5千部。無料。問い合わせは同センター075(415)3008。