水上勉さんから託された脚本による一人語りの公演に向けて練習する大原さん(京都府木津川市山城町・アスピアやましろ)

水上勉さんから託された脚本による一人語りの公演に向けて練習する大原さん(京都府木津川市山城町・アスピアやましろ)

 作家の水上勉さん(1919~2004年)から託された脚本による一人語りの公演を、京都府木津川市で劇団を主宰する女性が13日に奈良市で公演する。脚本を受け取ってから33年を経ての念願の舞台で、女性は「ようやく約束が果たせる」と本番を心待ちにする。

 公演するのは、人形劇や朗読を行う劇団「あんさんぶる円座」代表の大原めいさん(66)=同市相楽台。人形劇団京芸(宇治市)に所属していた1986年、「若州人形座」を主宰する水上さんに人形の使い手を紹介した縁で知り合った。その後、劇団青年座(東京都)による上演で知られる水上さん作の童話「ブンナよ、木からおりてこい」を一人語り用にアレンジした脚本を、「やってみないか」と手渡されたという。

 水上さんのアトリエなどで稽古を見てもらったが上演に至らず、1994年に水上さんに再会した際に「いつでもいいから、きっとやってくれよ」と声を掛けられた。しかし、重圧もあって踏み出せなかったという。

 一人語りで、主人公のトノサマガエルのブンナや、ネズミ、モズなど7役を演じ分ける難しい脚本。大原さんは5年前に円座を立ち上げ、経験を重ねてきた。「表現の幅が広がった。今ならできる」と挑戦を決意。知人のピアニストも加わり、生演奏で盛り上げてもらうことになった。

 今年は水上さんの生誕100年、没後15年の節目で、「不思議な縁を感じる」と大原さん。「命のつながりをメッセージにした物語。水上先生や私自身の思いも観客につなぐことができれば」と話している。

 公演は、奈良市右京の市北部会館で13日午前11時と午後2時半から。前売り2千円(中高生千円)で当日券は各500円増。円座090(2069)2133。