新型コロナウイルスによる世界の死者が11万人を超えた。感染拡大は底なしの様相を見せている。

 世界保健機関(WHO)が規定上は存在しない「パンデミック」(世界的大流行)という用語で警告を発してから1カ月が過ぎた。

 この間、感染者数は15倍、死者数は25倍以上にもなる計算だ。感染は中国から欧州を経て米国に至っている。今後、医療態勢のもろさが指摘される途上国での被害拡大が心配されている。

 感染の封じ込めに向け、全世界が協力しなければならない。

 WHOは1月30日、最高レベルの警戒を呼びかける「公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。2月28日には地域別の危険性評価を「非常に高い」に引き上げた。いずれの段階も、感染者数、死者数の9割以上を中国本土が占めていた。

 しかし、3月に入り、欧州、米国で感染が急拡大した。世界の死者数は現在、1~2日で1万人以上のペースで増えているという。

 特に米国では、今月11日に感染者53万人、死者は2万人を超え、世界最多となった。米政権の専門家は死者が6万人まで増えるとの見通しを示している。何としても拡大を食い止めねばならない。

 懸念されるのは、死者の8割が高齢者という点だ。WHOは、死亡率は80歳以上の層で最も高く、19歳未満では重篤な状態に陥るのは0・2%だとしている。

 抵抗力が弱く、基礎疾患を持つ人が多い高齢者をいかに守るかは世界共通の課題といえる。

 半面、若年層は感染しても症状が出ない場合があり、気づかないうちに他者に感染させる可能性があるとも指摘される。若い世代に自覚を促すことも必要だ。

 医療態勢の差が被害拡大を左右するとの指摘もある。同じ欧州でともに高齢化が進んでいても、ドイツの死亡率が2%台なのに、イタリアは10%を超えている。

 ドイツの迅速な検査や隔離政策が奏功したとする専門家もいる。こうした格差を埋める支援を広げていかねばならない。

 同じ問題は、途上国でより深刻だ。アフリカでは重症患者への医療設備の不足が深刻化している。

 集中治療室(ICU)の病床数は、WHO集計の43カ国で計5千床に満たず、人口比では欧州と800倍近い差があるという。

 感染者の発見も遅れているとみられる。対応が遅れれば、仮に先進国で終息しても再拡大の引き金になりうる。国際社会は、途上国への十分な目配りが欠かせない。